慶應SFC 2017年 総合政策学部 英語 大問1 全訳

 「自然の状態において、利益は正義の尺度である」とトーマス・ホッブスは書いた。彼は人間の本性に対して厳しい見方を持つ哲学者であった。ホッブスの同僚たちは何世紀にもわたって、人間は本質的に自己中心的か、それとも正直さにより傾倒するかを考え続けてきた。明らかに、人々は両方の行動を示す。問題はどちらがより容易に行われるかである。

 これまでのほとんどの実験は、自己利益に仕える場合、人間はデフォルトで不正直であるという最初の考えを支持する傾向にあった。例えば、アムステルダム大学のシャウル・シャルヴィが主導したある研究では、参加者にサイコロを秘密に3回振って最初のロールの結果を書き留めるように指示された。その後、その数値の10倍のイスラエルドルを受け取ることになる。研究者らは、20秒以内にサイコロのロールを報告するように求められた人々が、時間制限のない人々よりも高い数値を報告する傾向があることを発見したが、どちらのグループも、真実を述べている場合に期待される平均値よりも高い数値を報告した。

 しかし、ヴァレリオ・カプラロ博士の新しい研究が、この問題に混乱をもたらした。カプラロ博士は、以前の研究が人々に事前にどのようにして最大限の利益を得るかを考える機会を与えていたと主張している。つまり、これらの研究は、参加者が準備なしにどのように反応するかを適切にテストしていなかった。彼の研究は、参加者にタスクの詳細を実行直前に提示し、人々が本来正直である可能性があることを発見した。

 カプラロ博士の実験では、圧力下での時間に真実を述べた参加者は56%であったのに対し、考える時間があった人々は44%に過ぎなかった。制御実験では、嘘をつくオプションがない場合、372人の参加者の約25%が自己利益を無視して利他的なオプションを選択し、これは急いで決定する必要があるかどうかにかかわらず同様であった。これにより、より大きな報酬につながる嘘をつくことと比較して利他主義の基準レベルが確立された。したがって、カプラロ博士の実験は、正直さがより本能的な反応であることを示唆している。一方、熟考はより自己中心的な行動を促進するようである。

 カプラロ博士は、彼の結果の堅牢性を確保するために、より厳密に制御された条件下での実験室での実験を繰り返す予定である。彼の結果が持ちこたえるならば、それはホッブスが期待していたよりも人間の行動についてより楽観的な見方を示唆するだろう。

 

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