慶應SFC 2016年 環境情報学部 英語 大問1 全訳

 ロージー、C-3PO、HAL、WALL-E、ベンダー、オプティマス、アシモ。マイクロチップの発明以前から、私たちは人間のように、あるいは人間よりも優れた歩行、会話、思考能力を持つ人型機械を構築することを想像してきた。

 しかし、問題がある。人型ロボットは決して実現しない。その理由を理解するためには、技術的な問題の形状と市場力を比較する必要がある。

 第一に、人間の体の仕組みは驚くべき複雑さである。確かに、腕や足を持つ機械を構築してきたが、人間のような器用さと信頼性で地球を歩くことができる統一プラットフォームを持つには、まだ遠い。

 第二に、入出力ソフトウェアの大幅な進歩が必要である。スマートフォンと口論になったことがある人なら、機械と頼りになる会話をするまでどれほど遠いかが理解できるだろう。「ジェンにテキストを送って」と頼んで「どの曲を再生しましょうか?」と返答されるのは、面白いが、いらいらする。スピーカーが独立しており、開かれたエンドの音声認識が99パーセント以上の信頼性で機能することは、近い将来には実現しない。

 第三に、人工知能は宇宙で最大のソフトウェアの課題である。人間の脳が情報を処理し、学習し、決定を下す能力は、私たちがかろうじて理解できるものであり、ましてや再現することはできない。人間の思考をチェスのゲームのような制御された状況で再現することは、かろうじて私たちの手の届く範囲内にある。機械が私たちのように行動するためには、私たちのように考えることが必要であり、そのようなソフトウェアを開発することは、何世代にもわたって、もしくは永遠に不可能である。

 したがって、人型ロボットを構築するためには、人間の形を模倣する機械を構築し、入出力問題を解決して常にお互いを理解し、最後に人間の脳の思考プロセスを複製する必要がある。これら3つのいずれかのタスクもほぼ不可能である。これら全てを組み合わせると、人類に知られている最大の技術的挑戦の1つを表している。

 しかし、人型ロボットの未来が不可能である理由は、技術的挑戦の規模だけでなく、それら3つの挑戦が経済とのシンプルな交差点にあることにもある。

 人型ロボットは、ほぼ何でもできる多目的プラットフォームになるだろう。冷蔵庫から飲み物を取ってくる、玄関から新聞を取ってくるなどのことができる。しかし、これらは20ドル以下の問題であり、実際にはこれらの問題を解決するために20ドルを支払うことはないだろう。同じ人型ロボットが、家を掃除する、赤ちゃんをあやす、車を運転するなど、より有用なことをすることができる。これらは20ドル以上の価値があり、私たちはすでにこれらの問題を解決するためにロボットを使用しているが、それらは人型ではない。

 家を掃除するロボットに400ドルを支払うことができる。約250ドルで、赤ちゃんを揺らすための幼児席を購入できる。新車を購入する際には、車線逸脱警告や衝突回避、ダイナミッククルーズコントロールなど、自動運転技術の端に位置するロボティックオプションを選択できる。

 ポイントは、これらのことを行うために人型ロボットを構築する必要がないということである。私たちは、それらを物自体に組み込むことができる。

 将来的に日常のタスクを支援するためにロボットがいるという考えは間違っていない。多目的人型ロボットが必要であるという考えが間違っている。コストが引き続き低下し、技術が進歩するにつれて、実際の消費者の問題を解決するために多くの特殊目的ロボットを作ることができる。人型にする必要はない。

AO入試・小論文に関するご相談・10日間無料添削はこちらから

「AO入試、どうしたらいいか分からない……」「小論文、添削してくれる人がいない……」という方は、こちらからご相談ください。
(毎日学習会の代表林が相談対応させていただきます!)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です