■ 議論の整理・・・
近年の遺伝子解析技術の進歩に伴い、さまざまな遺伝子疾患の診断、治療、検査
などの適応範囲が拡大しています。一方、遺伝医療は世代継承に大きく関わる問題であり、人権やプライバシー保護の問題など複雑な問題を孕んでいることが指摘されている。情報を一部共有する家族にも影響を与える個人情報を取り扱うことから、医療者には高度な倫理的配慮、意思決定支援が求められる。※1※2貴学の論文では様々な遺伝性疾患に関して、プライバシーや心理的負担に注目して、研究している。論文※1では遺伝性非ポリポーシス性大腸癌(HNPCC)の遺伝カウンセリングについて、「がん」と「遺伝」の二つの観点から研究している。論文※2では家族性腫瘍の診療に伴う身体的・心理的負担とその対処法、社会生活への影響など、適切な情報が提供されること、患者・家族の不安や関心事に着目した研究をしている。
■ 問題発見・・・
では、遺伝医療における看護の役割は何であろうか。
■ 論証・・・
上述した通り臨床では遺伝医療が提供されるようになってきたことから、多くの臨床領域では看護職が遺伝医療に参加し始めている。遺伝カウンセリングでは看護師が検査前から結果開示後のフォローを実践されている。これから遺伝医療がさらに普及され、一般化が進めば、遺伝看護の重要性は大きくなってくると考える。遺伝看護に求められるのは心理的ケアであると考える。遺伝性疾患や先天異常を持つ患者や家族は、診断や治療の経過において大きな精神的ダメージを受け、 将来への恐れと不安、動揺や悲嘆を体験している。看護師は患者を支援し、患者が新しい価値観を作り上げる手助けをすることができる。例えば、羊水染色体検査や遺伝学的検査等の場では、対象者の不安な思いに考慮しつつ傍に付き添い、身体的な安全を確保しながら心理的なケアを行うことが必要である。患者が入院中に施設紹介の必要性があれば、ソーシャルワーカーと連携して、その情報を提供するべきである。患者が退院後は、どの時期にどの症状に注意すべきなのか、日常生活の自己管理も含め指導するべきであると考える。
■ 結論・・・
以上より、これからますます盛んになる遺伝看護においては、患者の精神的ケアはもちろんの事、入院中や入院後における支援や指導まで包括的に看護を提供するべきである。
■ 結論の吟味・・・
武田 祐子教授に師事することで、遺伝看護において臨床経験ができるだけでなく、研究の面でも多くの事を学べると考える。遺伝看護を学び、そして研究するには慶応義塾大学看護医療学部が最も適していると考えられ、入学を希望している。
※1武田 祐子,矢崎久妙子.(2009)「遺伝性非ポリポーシス性大腸癌(HNPCC)の遺伝カウンセリング」家族性腫瘍 9(2) 75-77
※2武田 祐子.(2005)「看護サイドからみた患者・家族に対するサポートのあり方」日本内分泌学会雑誌 81(1) 59
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