慶應義塾大学環境情報学部2022年小論文解説

慶應義塾大学環境情報学部2022年小論文解説

 

問1-1(5/200)

2021年に日本国内で購入されたシャープペンシルの本数を推定し、その数値を解答欄1-1に記入してください

書いてあれば2点、妥当といいうる数値なら3点

 

5760万本

 

問1-2(35/200)

問1-1で解答した推定値を算出した根拠を解答欄1-2で説明してください。その差異、なるべくわかりやすく、読者が納得できるよう具体的根拠を示してください。

書いてあれば5点、結論(抽象的)5点、根拠15点、具体例5点、結論(具体的)5点、論理飛躍-5点、主述がずれている・飛んでいる、漢字ミス、送り仮名ミスそれぞれ-1点

 

結論(抽象的)……

まず、シャープペンシルとは主に中学生高校生が利用する芯が交換可能で、消しゴムで消すことができる筆記用具である。

 

根拠……

その理由として、芯が交換可能であるという特性から芯が飛ぶ危険性があるため小学生は利用を禁じられているが、芯を削らなくても使える利便性から隠れて持ち込む生徒は多い。一方、幼稚園児にとっては取り扱いが難しい、そもそも筆記用具を使う機会がクレヨンなどを除くと少ないためほとんど使わない。また、大学生以降は他のペンで記録したりパソコンで記録することが多く殆ど使われない。特に社会人になってからは消すことができる記録を作ることが少ないため、建築設計事務所などを除いてはほとんど使われない。

 

具体例……

このことから、6歳〜12歳の小学生は1人あたり年1本はシャープペンシルを購入していると考えられる(おおよそ600万本)。一方、13〜15歳の中学生・16〜18歳の高校生は日常使いの筆記用具としてスペアや貸し借り分、目的用途に応じた使い分けも含めて年10本はシャープペンシルを購入していると考えられる(おおよそ5000万本)。一方で、大学生以降は全学生の10%程度が建築・技術開発関係であると考えられるため大学生などの10%が設計用のシャープペンシルを年3本程度購入していると考えられる(おおよそ120万本)。また、法人企業数については資本金1000万円以下の企業は建築会社についてはほぼ休眠法人であると考えられるため、資本金1000万円超の企業37万社のうち1割程度か建築・技術開発関連企業だとして3.7万社が平均10本程度の設計用シャープペンシルを社費で購入していると考える(おおよそ40万本)。

 

結論(具体的)……

このことから、1年間のシャープペンシル合計購入本数推計は5760万本である。

 

問2(160/200)

 

問2-1(20/160)

入学後この「未来からの留学生派遣制度」にあなたが参加し、2020年4月に行くことができた場合に、この機会を活かして解決したい、あるいは解決できると考える問題についてわかりやすい印象的な名称を考え、解答欄2-1に記述してください。

書いていれば5点、わかりやすければ5点、印象的なら5点、奇抜なら5点、主述がずれている・飛んでいる、漢字ミス、送り仮名ミスそれぞれ-1点

 

「2020年4月からリモート社会への加速を飛躍的に高めるプロジェクト」

 

問2-2(20/160)

問2-1で記述した問題の解決について、過去に移動できる「未来からの留学生派遣制度」という特別な機会を通じて取り組むことの意義を200字以内で解答欄2-2に記述してください。

書かれていれば10点、奇抜性5点、過去に移動できる特別な機会を通じて取り組むへの関連付け5点、論理飛躍点数半減、主述がずれている・飛んでいる、漢字ミス、送り仮名ミスそれぞれ-1点

 

結論……

私達は2020年4月に移動して問題解決に取り組むことで、真に意味あるコロナ克服の手段とは何であったのかを検証することができる。

根拠……

具体例……

コロナ禍の際に、私達は飲食店への営業「自粛」要請やさまざまな移動の制限など政府が民間人に要請するものとしては、いささか配慮に欠けた政策を多く見てきた。

結論……

こうした過去を踏まえ、同じ轍を踏まないための方法を考えることは意義深い。

 

問2-3(70/160)

問2-1で記述した問題を解決する方法の具体的なアイディアを解答欄2-3の枠内に記述してください。必要に応じて図や絵を用いてもかまいません。柔軟な発想や奇抜なアイディアを歓迎します。

40点論証(奇抜性20点)、議論の整理10点、問題発見5点(奇抜性3点)、結論10点(奇抜性5点)、吟味10点(奇抜性5点)、論理飛躍点数半減、主述がずれている・飛んでいる、漢字ミス、送り仮名ミスそれぞれ-1点

 

議論の整理……コロナ禍の振り返り

 

2020年には始まっていたコロナの問題は私達の社会に暗い影を落とした。政府は「不要不急の外出」を控えるように人々に要請し、多くの人々がこの要請に従った。また、飲食店など感染の媒介になる可能性が高い事業者には営業の「自粛」を要請した。後にある程度の補償金が支払われるようになったが、これは主に小規模事業者に対するもので、チェーン店などの大規模事業者については政府の政策を起因として大きな赤字を強いられる結果になった。

 

問題発見……飲食店への営業「自粛」要請は妥当な政策手段といえたのか?

 

そもそもここで考えなければならないことは、政府による飲食店への営業「自粛」要請は妥当な政策手段と言えるか否かである。政府が要請するのであれば、政府はそれ相応の補償を払うべきであるにも関わらず、「自粛」を「要請」したがゆえに、その損失は飲食店の自己責任とされ、政府からの補償はあくまでも限定的なものであった。こうした政策手段の採用は民間企業の財産権を蔑ろにするものになりかねず、起業意欲を損ねる。

 

論証……飲食店への営業「自粛」要請への補償はどうすべきだったのか?

 

ここで私は、飲食店への営業「自粛」要請の補償として政府が国債を発行し多額の補償を行う他にも、政府を主導とした新たなる新産業への誘導がアリうるのではないかと考える。そのうちの一つは「リモート前提」社会を背景とした、ドローンによる宅配サービスの普及だ。コロナ以前に私が上海に行った際、上海の多くの飲食店では閑古鳥が泣いていたものの、経営状態は良さそうだったのが印象的だった。その理由は中国ではフードデリバリーが普及しており多くの人がそれを利用して食事を取っていたためだ。

 

結論……ドローンを活用した配送や、エッセンシャルワークにおけるリモートワークの導入の余地について考える

 

フードデリバリーは配達員が食事を運ぶシステムだが、これをドローン配送によるものにすれば人との接触はさらに防げる。また調理そのものもロボットが行うようになれば、ほとんど人の手を介さずに事業を行うことも可能だ。こうしたシステムこそがコロナ時代を乗り越えるための「リモート前提」社会に適合したビジネスであるといえる。

 

吟味……テクノロジーが進んでいる中国におけるコロナ対策は成功したといえるのか?

一方で、こうしたシステムの発達は多くの人々の雇用を奪うことも事実だ。いままでも技術発展に応じて新たな雇用が生まれてきたが、新技術による雇用の喪失を背景として私達は新たに人間が生み出すことができる付加価値はなにか、あるいは付加価値が生み出せなかったとしても平穏な社会を築くためにできることはなにかを考えていく必要がある。

 

問2-4(70/160)

その問題解決の実現に向け2年間でどのような活動を行うのか具体的な手順を解答欄2-4に記述してください。解答欄の左端に時系列を示す直線が良いしされていますので利用してください。図や絵を使用してもかまいません。創造性豊かな構想を期待しています。

40点論証(奇抜性20点)、議論の整理10点、問題発見5点(奇抜性3点)、結論10点(奇抜性5点)、吟味10点(奇抜性5点)、論理飛躍点数半減、主述がずれている・飛んでいる、漢字ミス、送り仮名ミスそれぞれ-1点

 

議論の整理……現在の社会と「リモート前提」社会の違い

 

コロナ禍で政府により多くの事業者が苦しめられ、蓄積した赤字がいまだに再建の重荷となっているのは、政府による財政支出がアメリカなどと比較すると不十分だったことにも原因があるが、それ以上に政府がコロナを奇貨として新社会へのグランドデザインを構築しきれなかったという点に大きな問題がある。特に、リモートワークを前提とする「リモート前提社会」に対する準備が全くと行って良いほど出来ていない。

 

問題発見……「リモート前提」社会において何が問題になるのか?

 

まず、「リモート前提」社会においてどのような問題が生じるかをここでは考えていきたい。「リモート前提」社会において最も問題となるのは労働者のサボタージュだ。リアルな職場で働いていると、zoom越しで働く場合と比較しても得られる情報量が段違いに多いが、リモート前提社会においてはこの点において不便がある。そのため、上司に見えないところでサボタージュをする従業員は多いし、そうでなくとも創造性は低下する。

 

論証……労働時間ではなく労働成果で賃金が決まる新たな労働法制の必要性

 

そこで、労働時間ではなく労働成果で賃金が決まる新たな労働法制を作る必要性があるが、法の整備は残念ながら追いついていない。そこでまず、自ら新たな労働のあり方をベースとする企業、特にリモート前提社会で必要になる家にいながらにしてスピーディーにデリバリーフードを頼める会社を作り、ロボットによりほとんどすべての作業を行うゴーストキッチンとドローン配送事業を運営することでリモートワーカーに対してのありとあらゆるサービスを行うような次世代の財閥を立ち上げたい。

 

結論……業務委託制度の拡大と生活安全保障としてのベーシックインカムやワークシェアリング、新需要の創造、それを実現するための民間企業の設立と拡大

 

現段階でリモートワークで生計を成り立たせることに成功している多くの才能あるリモートワーカーをネットワーク化することで、リアルオフィスでは採用しえない才能ある人々と同時多発的に様々なプロジェクトを行い、日本を変える力のあるリモートワーカー集団を創りたい。それだけでなく、収入の10%を失業保険とし、万が一の病気やケガのときにも安心してリモートワーカーとしての生活を続けることができる日本型リモートワーカーの姿を模索したい。

 

吟味……なぜ行政が介入する生活保護制度は機能しえないのか、なぜ民間から既成事実を作っていくべきなのか?

 

このようなシステムはすべての国民を顧客とし、父権主義的な介入を行う行政による生活保護制度や失業保険制度では難しいだろう。そうした点から、民間企業がまず範となって既成事実を作っていくべきだと考える。

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