【林塾長作成】2021年慶應義塾大学環境情報学部小論文解答例

問1-1.(3/200)

数量A:46+x,x>0

x>0
x+46>46

よって数量Aは46より大きい

数量B:49-x,x>0

-x+49

x>0
-x<=0

-x+49<=49

よって数量Bは49以下である

このことから、それぞれの大小については(エ)与えられた情報だけでは判断できない

問1-2.(3/200)

ア、イ、ウとも成り立つ

問1-3.(4/200)

x=2^-1=1/2 y=10^-1=1/10

よって

(1/x)=2

1/y^3=1000

1/y=10

より

2021

問2.(15×(2+3)=75/200)

指摘事項2点満点×15、書かれている内容がふさわしくなければ各1点減点、理由3点満点×15、書かれている内容がふさわしくなければ各2点減点、接続詞、体言止め、文法・漢字・送り仮名ミス-1

(a) 人間の慣習に関すること

・ 短期的な合理性の追求
不条理だと感じる理由→ 問題を先送りにすることで自らの責任を回避するため

・ サンクコストバイアス
不条理だと感じる理由→ 累積の投資を否定することが自ら含む前任者の責任追及につながるため

・ 空気の支配
不条理だと感じる理由→ 周囲の意見を否定することが自らへの責任追及につながるため

・ 発言・業務への評価と人格への評価の混合
不条理だと感じる理由→ 発言・業務への評価と人格への評価を混合させることで仕事を全人格的なものにするため

・ 責任分散による責任回避
不条理だと感じる理由→ 責任者を分散することで責任を回避するため

(b) 社会の仕組みやルールに関すること

・ 年功序列制度
不条理だと感じる理由→ 年功を保障することで若い人材を安く働かせるため

・ 終身雇用制度
不条理だと感じる理由→ 終身雇用を保障することで心理的安全性を保つため

・ 公共調達におけるベンチャー企業の排除
不条理だと感じる理由→ 公共調達側がベンチャーの技術力に対する目利きができないため

・ 労働組合による一律昇給要求
不条理だと感じる理由→ 労働組合の組織としての強さを保つため個人の利益を犠牲にするため

・ 公立学校制度
不条理だと感じる理由→ すべての国民に教育の機会を保障するため質の悪い教育を放置するため

(c) 人間と環境の関係に関すること

・ 外部不経済・内部経済
不条理だと感じる理由→ 外部不経済を内部化する術に乏しいため

・ 排出権取引における参画主体の限定
不条理だと感じる理由→ 排出量の把握と排出権取引の仕組みを個人に適用させることが難しいため

・ 炭素税における適正水準設定の困難
不条理だと感じる理由→ 炭素税は需給を考慮して均衡価格を探るものではないため

・ 不法労働への抑止力の欠如
不条理だと感じる理由→ 国外で行われることで透明性のある民主的な政府の監督権限が及びにくいため

・ グローバルな環境基準策定の困難
不条理だと感じる理由→ 先進国と発展途上国の利害が一致せずまとまらないため

問3.(115/200)

1つ38点、議論の整理各4点、問題発見、論証、結論各10点、吟味各4点、接続詞、体言止め、文法・漢字・送り仮名ミス-1

議論の整理は前提1点、論点ごとに各1点(食い違う意見を3つ出せたら3点、これ以上の加点はなし)、問題発見は議論の整理と接続がある問題が書かれていれば3点、着眼点に応じて最高3点まで加点、論証も接続で5点、着眼点に応じて最高5点まで加点、結論は解決の方向性(カップヌードルの麺を食べられるようにほぐす:方針)と方法(お湯をかけて待つ、水を入れて電子レンジにかける)、解決の鍵になる技術革新・アイディア、具体的、定量的、ビジュアルに、各2点、合計14点、吟味は利害関係者検討最高2点、他説との比較で最高2点

問3-1.労働組合による一律昇給要求(b)

議論の整理……

労働組合による昇給要求は今日にいたるまで一律の要求であることが多い。つまり、労働者の仕事の成果のいかんに関わらず一律の昇給を要求するという形だ。このような要求になる理由としては、日本における就業慣行が就「職」や就「業」ではなく就「社」であるからだと考えられる。つまり、もともとの定められた職務分掌によるものではなく、あくまでもその組織の一員であることへの対価として報酬が支払われるという体系になっているのだ。こうした雇用体系においては、市場経済の中で評価されるスキルを持った人員が低賃金に甘んじる一方で、評価されにくいスキルを持った人員が市場評価に対して過剰な賃金を受け取る形になる。

問題発見……

さて、労働組合による一律昇給要求のような不合理・非効率な要求を排除するために、このような「メンバーシップ型雇用」を見直し「ジョブ型雇用」へと改める上ではどのような変革が必要であるかをここでは考えたい。

論証……

まず、我が国で「ジョブ型雇用」が浸透しない理由について考えたい。「メンバーシップ型雇用」においては、少なくとも職務内容に要求される知的レベルがさほど高くない場合には、その教育コストを企業が負担する代わりに、職務内容に必要な人員を比較的安く雇用することができる。このような経済合理性があったため、今日に至るまで日本企業では「メンバーシップ型雇用」が続いてきた。
しかし、今日の世界では、特に日本のような先進国において比較優位を確保できる産業においては職務内容に要求される知的レベルはますます高まっており、そうした中で「ジョブ型雇用」への転換はますます急務になっている。
だが、今まで「メンバーシップ型雇用」を行ってきた組織においては職務分掌の範囲があいまいであり、かつ職務に必要な経験・知識・その他条件の整理も出来ていない。そのため採用に際して要件を提示することができず、また育成段階においてもその要件が満たされているか、必要な成長がなされているかを検証しフィードバックすることができない。
このようなことから「メンバーシップ雇用」から「ジョブ型雇用」への転換が遅れているのだと考えられる。

結論……解決の方向性(カップヌードルの麺を食べられるようにほぐす:方針)と方法(お湯をかけて待つ、水を入れて電子レンジにかける)、解決の鍵になる技術革新・アイディア、具体的、定量的、ビジュアルに

そこで、まず「ジョブ型雇用」への転換に際し必要な職務分掌の範囲の明確化と、職務に必要な経験・知識・その他条件の整理を行う必要がある。職場の人員によるこうした取り組みができないことから、メールや業務資料などを形態素解析し、その上でどのような要件を持つ人材が必要か、またどのように育成・フィードバックすればよいかが自動的にサジェストさせるシステムを作り、採用から育成までを一気通貫に行えるようにしたいと私は考えている。

吟味……

また、こうしたシステムの精度を高めるために、データーの蓄積により精度を高めることや、採用後の活躍をフィードバックできるような個別損益管理なども導入し、こうしたシステムがさらにメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への転換を図る上での一助となるような形にしたい。

労働組合による昇給要求は今日にいたるまで一律の要求であることが多い。つまり、労働者の仕事の成果のいかんに関わらず一律の昇給を要求するという形だ。このような要求になる理由としては、日本における就業慣行が就「職」や就「業」ではなく就「社」であるからだと考えられる。つまり、もともとの定められた職務分掌によるものではなく、あくまでもその組織の一員であることへの対価として報酬が支払われるという体系になっているのだ。こうした雇用体系においては、市場経済の中で評価されるスキルを持った人員が低賃金に甘んじる一方で、評価されにくいスキルを持った人員が市場評価に対して過剰な賃金を受け取る形になる。
さて、労働組合による一律昇給要求のような不合理・非効率な要求を排除するために、このような「メンバー型雇用」を見直し「ジョブ型雇用」へと改める上ではどのような変革が必要であるかをここでは考えたい。
まず、我が国で「ジョブ型雇用」が浸透しない理由について考えたい。「メンバーシップ型雇用」においては、少なくとも職務内容に要求される知的レベルがさほど高くない場合には、その教育コストを企業が負担する代わりに、職務内容に必要な人員を比較的安く雇用することができる。このような経済合理性があったため、今日に至るまで日本企業では「メンバーシップ型雇用」が続いてきた。
しかし、今日の世界では、特に日本のような先進国において比較優位を確保できる産業においては職務内容に要求される知的レベルはますます高まっており、そうした中で「ジョブ型雇用」への転換はますます急務になっている。
だが、今まで「メンバーシップ型雇用」を行ってきた組織においては職務分掌の範囲があいまいであり、かつ職務に必要な経験・知識・その他条件の整理も出来ていない。そのため採用に際して要件を提示することができず、また育成段階においてもその要件が満たされているか、必要な成長がなされているかを検証しフィードバックすることができない。
このようなことから「メンバーシップ雇用」から「ジョブ型雇用」への転換が遅れているのだと考えられる。
そこで、まず「ジョブ型雇用」への転換に際し必要な職務分掌の範囲の明確化と、職務に必要な経験・知識・その他条件の整理を行う必要がある。職場の人員によるこうした取り組みができないことから、メールや業務資料などを形態素解析し、その上でどのような要件を持つ人材が必要か、またどのように育成・フィードバックすればよいかが自動的にサジェストさせるシステムを作り、採用から育成までを一気通貫に行えるようにしたいと私は考えている。
また、こうしたシステムの精度を高めるために、データーの蓄積により精度を高めることや、採用後の活躍をフィードバックできるような個別損益管理なども導入し、こうしたシステムがさらにメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への転換を図る上での一助となるような形にしたい。
(1225文字)

問3-2.公立学校制度(b)

議論の整理……

現在の公立学校制度では、特定の学校に強制的に通学させられることが一般的になっている。一部の私立学校に行く場合を除いては、公立学校に通わなければならず、学校経営への新規参入も難しいためこうした現状を変えるためのいくつかの提案がなされている。その一つとして「教育バウチャー制度」があり、消費者が自分に通いたい学校を選び、それをクーポンの形で財政的に手当するという考え方がある。

問題発見……

だが、こうした考え方は、消費者が学校を選ぶ上で十分な情報を持っているという仮定に基づいており、なんらの規制を設けることもなく導入することは必ずしも適切ではないと私は考える。

論証……

一般に、教育や医療などの分野においては、消費者側と供給者側で情報の非対称性が存在している。一例を挙げると合格実績についての情報の非対称性がある。私立公立を問わず合格実績は、進学者数ではなく合格者数を出すことが一般的になっており、たとえば一人の生徒が複数校合格した場合、複数人としてカウントすることが常態化している。
だが、消費者側はこうした業界慣行を知らないため、たとえば早慶レベルに合格できることを期待して入った学校で、実際のところはそれよりも下位の学校への進学しか叶わなかったという例も出てくる。

結論……解決の方向性(カップヌードルの麺を食べられるようにほぐす:方針)と方法(お湯をかけて待つ、水を入れて電子レンジにかける)、解決の鍵になる技術革新・アイディア、具体的、定量的、ビジュアルに

このような状況を排するため、教育バウチャーの導入に際しては、一部の複数大学・学部合格者をダブルカウントしていないかを把握する必要がある。具体的には、高校の生徒データーと大学の合格者データーを名寄し、一人の複数大学・学部合格者をダブルカウントしていないかを監視し、実際の進学者数を割り出した上で、そのような真正な数字を公表しない、誇大広告を行う高校については営業停止も含めた厳しい処分を行うべきである。

吟味……

このような施策を行うことにより、新規参入者の質も一定程度以上に保つことができ、その結果として新規参入も認められるようになり、教育市場がより活況を呈することになるだろう。

現在の公立学校制度では、特定の学校に強制的に通学させられることが一般的になっている。一部の私立学校に行く場合を除いては、公立学校に通わなければならず、学校経営への新規参入も難しいためこうした現状を変えるためのいくつかの提案がなされている。その一つとして「教育バウチャー制度」があり、消費者が自分に通いたい学校を選び、それをクーポンの形で財政的に手当するという考え方がある。
だが、こうした考え方は、消費者が学校を選ぶ上で十分な情報を持っているという仮定に基づいており、なんらの規制を設けることもなく導入することは必ずしも適切ではないと私は考える。
一般に、教育や医療などの分野においては、消費者側と供給者側で情報の非対称性が存在している。一例を挙げると合格実績についての情報の非対称性がある。私立公立を問わず合格実績は、進学者数ではなく合格者数を出すことが一般的になっており、たとえば一人の生徒が複数校合格した場合、複数人としてカウントすることが常態化している。
だが、消費者側はこうした業界慣行を知らないため、たとえば早慶レベルに合格できることを期待して入った学校で、実際のところはそれよりも下位の学校への進学しか叶わなかったという例も出てくる。
このような状況を排するため、教育バウチャーの導入に際しては、一部の複数大学・学部合格者をダブルカウントしていないかを把握する必要がある。具体的には、高校の生徒データーと大学の合格者データーを名寄し、一人の複数大学・学部合格者をダブルカウントしていないかを監視し、実際の進学者数を割り出した上で、そのような真正な数字を公表しない、誇大広告を行う高校については営業停止も含めた厳しい処分を行うべきである。
このような施策を行うことにより、新規参入者の質も一定程度以上に保つことができ、その結果として新規参入も認められるようになり、教育市場がより活況を呈することになるだろう。
(811文字)

問3-3.排出権取引における参画主体の限定(c)

議論の整理……

現在、温室効果ガスのもたらす外部不経済を内部化するための取り組みとして、排出権取引が企業間で拡大している。

問題発見……

だが、こうした排出権取引は個人間ではまだ拡大していない。

論証……

もちろん、個人間の排出権取引は企業間の取引によって間接的に行うこともできるので問題ないとする考え方もあるが、一人ひとりが自らの行動の環境への影響を考える上でも、私は個人間でも排出権取引を行えるようにするべきだと考える。
個人間で排出権取引を行うことができない理由としては、個人が排出する温室効果ガスの量を把握することがかなり困難だという側面がある。

結論……解決の方向性(カップヌードルの麺を食べられるようにほぐす:方針)と方法(お湯をかけて待つ、水を入れて電子レンジにかける)、解決の鍵になる技術革新・アイディア、具体的、定量的、ビジュアルに

個人が排出する温室効果ガスをかなり正確に把握するためには、バスや地下鉄なども含めたあらゆる消費行動の決済や電気自動車の運転の際の移動履歴の共有などかなり広範な範囲での情報の共有が求められる。
こうした情報を収集するにあたっては、かなり大きな反発も予想される。だが、排出権取引はエネルギーをなるべく使わずに生きている人々にとっては自らの収入を拡大することにもつながる。いわば排出権取引は負の所得税を含めた累進課税のように機能することも考えられることから、そうした実利的側面から個人間排出権取引はかなりの量のデーター共有を要求されたとしても今後進んでいく可能性がある。

吟味……

だが、一つの懸念点として考えられる部分としては、排出権取引がエコな家電や自動車を使う層にとって有利に働く一方、古い家電や自動車を使う層にとって不利になることである。個人間排出権取引を導入する際にはそのような状態に陥らないように、助成金政策などを整え、貧しい人にも省エネ家電や電気自動車が行き届く政策を考えるべきだろう。

現在、温室効果ガスのもたらす外部不経済を内部化するための取り組みとして、排出権取引が企業間で拡大している。
だが、こうした排出権取引は個人間ではまだ拡大していない。
もちろん、個人間の排出権取引は企業間の取引によって間接的に行うこともできるので問題ないとする考え方もあるが、一人ひとりが自らの行動の環境への影響を考える上でも、私は個人間でも排出権取引を行えるようにするべきだと考える。
個人間で排出権取引を行うことができない理由としては、個人が排出する温室効果ガスの量を把握することがかなり困難だという側面がある。
個人が排出する温室効果ガスをかなり正確に把握するためには、バスや地下鉄なども含めたあらゆる消費行動の決済や電気自動車の運転の際の移動履歴の共有などかなり広範な範囲での情報の共有が求められる。
こうした情報を収集するにあたっては、かなり大きな反発も予想される。だが、排出権取引はエネルギーをなるべく使わずに生きている人々にとっては自らの収入を拡大することにもつながる。いわば排出権取引は負の所得税を含めた累進課税のように機能することも考えられることから、そうした実利的側面から個人間排出権取引はかなりの量のデーター共有を要求されたとしても今後進んでいく可能性がある。
だが、一つの懸念点として考えられる部分としては、排出権取引がエコな家電や自動車を使う層にとって有利に働く一方、古い家電や自動車を使う層にとって不利になることである。個人間排出権取引を導入する際にはそのような状態に陥らないように、助成金政策などを整え、貧しい人にも省エネ家電や電気自動車が行き届く政策を考えるべきだろう。
(701文字)

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