慶應義塾大学SFC 環境情報学部 小論文 1996年 解説

・ 問題文

問題 資料1,資料2,資料3をそれぞれ良く読んだ上で,問1と問2に対する答を解答用紙の解答欄に記入しなさい。
問1.資料の中で使われているキーワードを10個程度使い。主な論点とその相互関係を図で表現しなさい。答は解答欄(1)に記入しなさい。
問2.高度情報社会において日本が世界でどのような役割を果たすべきかが注目されています。このためにあなたが重要と考える課題は何か、またその解決のためには何をなすべきかについて。上で作成した図をもとに考察し。解答欄2)に1000字以内で記入しなさい。

・ 問題の読み方

 問二については、一般的な5STEPsを使う問題で、なおかつ問題文を理解が平易である。指定された通りに5STEPsで書くと良い。

・ SFC小論文に求められる解答の指針

 課題文の中から問題点を提起することに難しさを感じる人が多い問題だが、日頃からニュースなどに目を通し、情報化社会の課題を把握しておく必要がある。

・ 模範解答

議論の整理→

現代は高度情報化社会であり、モノではなく実体の無い「情報」が直接交換されるようになっている。このような社会においては、情報の「差異」そのものが、すなわち価値とされる。そうした理論をすすめると、差異の無い情報に価値は無いと見なされる。したがって、情報のコピーを防ぐ技術の開発や、情報の所有権、あるいは特許権を守るための法律の整備が行われてきた。

問題発見→

だが、この「情報」というものは、コピーや共有されることで差異が無くなったとしても、無価値になるとはいえないと私は考える。例えば、独創性のある情報が生まれたとする。それを、人や企業が独占しようとすればするほど、つまり公共性が低ければ低いほど、かえって情報の価値が下がってしまうという問題が発生する。

論証→

情報を独占しようとするとその価値が下がってしまう原因は、そもそも情報とは、社会を前提としたものだからである。純粋に情報の差異のみが価値になると、社会の側が既存の情報と新しい情報との間の差異性を認めなければ価値は生まれない。つまり、情報というのは、むしろ社会に公開され共有されて初めて価値が生まれてくるものである。

解決策or結論→

したがって、現代の高度情報化社会において、情報を本当に価値のあるものにするためには、それが完全に独占されることを防いでいくべきである。本来、情報には公共財的な側面があり、どんな独創性のある情報でも、それは既存の情報を得て生み出されたものでしかない。このように、もともとは誰の専有にもなりにくいものであるという観点からすれば、従来の、特許権や独占の価値といった考え方を根本から転換することが可能である。

解決策or結論の吟味→

しかしながら、コピーレフトのように無償の情報共有が肯定されてしまうと、企業や個人の、発明に対するモチベーションが下がってしまう可能性も考えられる。そうした企業や個人による独創的な情報や発明に対しては、例えば、その公共性に応じて発明した企業や個人にコンサルティング報酬を支払うことにより、対応が可能である。

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第6章 モチベーションについて考えよう
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