慶應義塾大学 文学部 小論文 1993年 解説

・ 問題文

(間1)この文章の主旨を三OO字以内で要約しなさい。
(問2) 筆者の主張は、今日の状況においても妥当か否 か、あなたの立場を明確にして、四○○字以内で論じ なさい。

・ 問題の解き方

 問一の要約問題については、様々な解法があるが、ここでは結論・根拠・具体例を用いて書く形を採用している。
 問二の論述問題については、筆者の主張の是非を論じる問題であるが、基本的にこうした問題の場合は筆者の主張を否定した上で、それを5STEPsで展開する必要がある。なぜなら、筆者の主張というものはたいてい論理的整合性があり、筆者の主張を是認すると、その筆者の論の論理構成を追認・模倣するだけに終わることが極めて多いためである。小論文においては執筆者独自の論理構成が強く求められるため、こうした執筆者が課題文筆者と対峙する姿勢が強く求められる。
 また、文学部の問題に多いが、問二でも解決策or結論ではなく結果を模索する形の5STEPsを用いる。

・ 模範解答

問一

結論……

物事に対する寛容さは、何にもまして大切な徳である。特に、物事に対して不寛容な人間と対した際にも、寛容であり続けることは極めて大切である。

根拠……

なぜなら、普段、物事に対する寛容さを持つ人が、しばしば物事に対して不寛容になり、進んで暴力的になることがままあるからである。

具体例……

たとえば、不寛容を打倒すると称して、元々物事に対しての寛容さを持っていた人が極めて暴力的になることがよくある。打倒すると宣言した側、打倒される側の双方が、逆上し、狂乱し、避けられたかもしれぬ犠牲をも避けられないようになることがままある。
物事に対する寛容さは、何にもまして大切な徳である。特に、物事に対して不寛容な人間と対した際にも、寛容であり続けることは極めて大切である。
なぜなら、普段、物事に対する寛容さを持つ人が、しばしば物事に対して不寛容になり、進んで暴力的になることがままあるからである。
たとえば、不寛容を打倒すると称して、元々物事に対しての寛容さを持っていた人が極めて暴力的になることがよくある。打倒すると宣言した側、打倒される側の双方が、逆上し、狂乱し、避けられたかもしれぬ犠牲をも避けられないようになることがままある。(251文字)

=問二=

議論の整理……

筆者は、物事に対して不寛容な人間と対した際にも、寛容であり続けることは極めて大切である、という趣旨の意見を持っている。私は、こうした意見に対しては反対である。なぜなら、寛容さだけでは対峙しえない敵がこの世界には存在するからである。

問題発見……

その代表的な一例が、市街地でヘイトスピーチを行う一団である。

論証……

なぜ多くの若者が、こうした特定民族に対するヘイトスピーチを行うかについて考えたい。自らの民族性にしか誇りを持つことが出来ないこういった人々は、自分の能力や容姿、収入の低さなどを値直視できない傾向にある。そのため、無理矢理にでも自らのアイゼンティティとなりうる民族像に固執するようになるる。

結果……

つまり、ヘイトスピーチの原因は、こうした運動に関わっている若者の能力の低さにあると考えられる。そうした問題を解決するためには、被差別者側の圧倒的な知力・体力を彼らに見せつけ屈服させるしかなく、古典的な暴力による運動にも一定の成果は期待できる。

結果の吟味……省略

筆者は、物事に対して不寛容な人間と対した際にも、寛容であり続けることは極めて大切である、という趣旨の意見を持っている。私は、こうした意見に対しては反対である。なぜなら、寛容さだけでは対峙しえない敵がこの世界には存在するからである。
その代表的な一例が、市街地でヘイトスピーチを行う一団である。
なぜ多くの若者が、こうした特定民族に対するヘイトスピーチを行うかについて考えたい。自らの民族性にしか誇りを持つことが出来ないこういった人々は、自分の能力や容姿、収入の低さなどを値直視できない傾向にある。そのため、無理矢理にでも自らのアイゼンティティとなりうる民族像に固執するようになるる。
つまり、ヘイトスピーチの原因は、こうした運動に関わっている若者の能力の低さにあると考えられる。そうした問題を解決するためには、被差別者側の圧倒的な知力・体力を彼らに見せつけ屈服させるしかない。

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