- 議論の整理・・・
政府が推進する「働き方改革」の一環が、同一労働同一賃金である。同一労働同一賃金は、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指すものであり、同一企業内における両者の間の不合理な待遇差の解消を通して、どの雇用形態でも納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようする。2020年4月から企業に対して法的に義務付けられるようになる。
- 問題発見・・・
では、こうした非正規雇用に関する雇用保障法理や処遇格差是正法理による制度は、いかなる原理に基づくのであれば、私的自治との関係で正当化することができるのだろうか。また、そのように正当化することは妥当といえるのだろうか。
- 論証・・・
私は、これらの問いに答えるには、労働法に関する正確かつ緻密な歴史的発展過程の理解を前提として、国際法の判例を整理することが重要だと考える。例えば、非正規雇用に関する雇用保障法理と処遇格差是正法理に焦点を当て、近年これらの法理がいずれも従来見られなかったほどに契約自由を制約する制度であることを明らかにする研究[1]があり、雇用保障法理や処遇格差是正法理に関する近年の変化の概略や、労働市場法制度の解釈及び今後の立法の方向性の指針などについて理解を深めることができる。
- 結論・・・
そこで、契約締結の自由と採用の自由、非正規雇用の雇用保障法理および処遇格差是正法理の正当化根拠などを専門に研究し、労働法、非正規雇用、雇用差別などの専門家として名高い貴学法学部の大木正俊教授に師事し、上述の問題点を整理するべく望ましい労働市場法政策のあり方について研究を深めたいと考えている。
貴学法学部の大木正俊研究会が上述の研究を進めるのに最適な研究環境との確信のもと、貴学法学部に入学し大木正俊研究会に入会することを強く希望する。
[1] 大木正俊「非正規雇用の雇用保障法理および処遇格差是正法理の正当化根拠をめぐる一考察」日本労働研究雑誌691号(2018年)10-18頁。
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