- 議論の整理・・・
フランス人権宣言第16条は、「権利の保障が確保されず、権力の分立が規定されないすべての社会は、憲法を持つものでない」と定めている。立憲主義は、政府の統治を憲法に立脚して行う原理であり、政治権力の行使の合法性が憲法の制限下に置かれていることを前提とする考え方である。特に、近代的立憲主義は、絶対君主の有する主権を制限し、個人の権利や自由を保障しようとする歴史の中で生じた概念であり、憲法は、国家権力を制限し、国民の権利や自由を保障することを目的とするものとされる。
- 問題発見・・・
では、日本の立憲主義に関する議論にはどのような歴史があり、その根底にはどのような思想や哲学があるのだろうか。また、立憲主義の捉え方や扱いは、日本と諸外国と比較してどのような違いがあるのだろうか。
- 論証・・・
私は、これらの問いに答えるには、日本の憲法学に関する正確かつ緻密な歴史的発展過程の理解を前提として、ヨーロッパやアメリカの近代立憲主義の歴史を整理することが必要であると考える。例えば、ハンガリーが体制変換の中で、政治における民主化・法治国家化・経済における市場経済化を追求しながら、社会的不正というファクターへのコミットが不足した結果、近代立憲主義が危機を招いたことを分析し、日本でも近代立憲主義の社会的基礎を改めて論じる必要があると指摘する研究がある[1]。
- 結論・・・
そこで、憲法や行政法などの公法学を専門に研究し、立憲主義の専門家として名高い貴学法学部の水島朝穂教授に師事し、上述の問題点を整理するべく近代立憲主義の社会的基礎について研究を深めたいと考えている。
貴学法学部の水島朝穂研究会が上述の研究を進めるのに最適な研究環境との確信のもと、貴学法学部に入学し水島朝穂研究会に入会することを強く希望する。
[1] 水島朝穂=佐藤史人「試練に立つ民主主義:2011年ハンガリー新憲法の『衝撃』(1)」比較法学46巻3号(2013年)39-83頁、水島朝穂=佐藤史人「試練に立つ民主主義:2011年ハンガリー新憲法の『衝撃』(2・完)」比較法学47巻1号(2013年)1-52頁。
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