■議論の整理
2019年中、渋谷駅周辺には大規模商業ビルが3棟オープンした。渋谷駅は現在100年に一度の大規模再開発を進めている。他にも、東京駅の八重洲地区や丸の内、池袋や虎ノ門などで再開発が進められている。東京の各所が新しく生まれ変わりつつある。渋谷を例にとると、東急東横線の都市化と副都心線との相互直通運転が契機となって土地区画整理が開始された。乗り換えが煩雑だった渋谷駅の利便性を高めることに加え、駅周辺の再開発を同時に行うことで公共施設の改善を目標としている。都市開発においては、新しくすることに価値を見出していると考えられる。実施に、ニューオープンした商業施設は多くの場合大きくニュース番組にとりあげられ、多くの人が訪れる。
■問題発見
新しさを追及した都市開発に、永続性はあるのだろうか。都市開発費用を一過性のブームだけで投資を回収できるとは思えない。また、その時の流行を追った施設づくりに囚われると時代の変化についていけず、再度のリニューアルを余儀なくされてしまう。新しさを追求しがちな東京という都市だが、一方で、古いものを活かしていこうとする動きもある。
■論証
例えば、隅田川西岸の蔵前地区は、倉庫や蔵だった建物をリノベーションして使うなどし「東京のブルックリン」と呼ばれるようになった。蔵前に新しく出店した店主は若年層が多く、若者の「レトロブーム」とも呼べる現象が起きている。2019年の夏には、スターバックスコーヒーがレトロをイメージした「スタアバックス珈琲」看板やメニューをプロモーションに活用したように、古いものと新しいものの融合に魅力を感じる人も多い。人々は、新しいものには感じ得ない落ち着きを求めているのかもしれない。
■結論
東京という都市の中に共存する古いものと新しいもの、そしてそれを取り巻く人々のあり方を見つめ直すことで、居心地の良い都市とはどのようなものかを考えていきたい。
■結論の吟味
以上のことから、貴学教育学部社会科公共市民学専修に入学し、若林幹夫教授の研究会で学ぶことを強く希望する。
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