早稲田大学 教育学部 外国学生入試 志望理由書 提出例(町田守弘ゼミ向け)

■議論の整理

国語の教材の賞味期限はいつだろうか。高等学校の教材として文学教材の定番を眺めてみると、芥川龍之介『羅生門』、中島敦『山月記』、夏目漱石『こころ』があるが、これらはどれも大正時代から昭和初期にかけての作品だ。言語環境をめぐって、彼らの言葉は今の世代の若者に受け継がれてほしいと思う反面、大きな乖離を生んでいるとしたら、新しい国語教材を模索することは大事な作業であるように思われる。

 

■問題発見

ある研究者によれば、上記のような問題意識で、若者にもなじみの深い作品を取り上げたり、サブカルチャーに親しんでいる若者向けに取り組みやすい教材を取り入れた国語教育の方法と実践を模索している事例がある。そこではたとえば、大学生・大学院生から次のような授業例が紹介される。ニコニコ動画内で人気を博しているボーカロイド系音楽の歌詞を聞いて言葉の力を育てる授業、枕草子をtwitter上でつぶやいてみる翻案の授業、ラブレターを文豪の手紙に学びながら作成する授業、新海誠の映画の情景描写について考える授業……。これらはどれも若者を取り巻く文化状況を念頭に置いた非常にユニークな授業だ。

 

■論証

上記の教材は、大正時代や昭和初期の文学作品を読むよりも、生徒自身の興味関心を弾くという意味では成功している授業例だと思われる。言葉の豊かさや新しい創造力を育む意味では、古い作品も新しい作品も、どちらでも行うことは可能だが、動機付けとしてどちらが興味関心をひきやすいかどうか、という点で眺めれば、現代の文化に依拠しながら考案していくことは非常に有意義な作業であると考える※1。

 

■結論

一方でこれらの新しい授業例には、慎重にならなくてはいけない面もたくさんあるだろう。継続性が薄いことが論文の中では述べられているが、他にもいくつか留意点は考えられる。たとえばそれは、古典との接続であったり、日本の郷土心であったりするだろう。新しい学習指導要領では、国語総合に変わり、言語文化と言う分割分野が設立されている。そこで、古くからの文化と新しい文化を接続する態度を養う際に、新しい作品がどこまでそれに耐えうるかを判断して使用することは非常に重要なカギになってくる。

 

■結論の吟味

上記のような観点で、新学習指導要領に向けた新しい国語の方法・実践として、新しいタイプの教材研究に私も従事してみたいと考え、貴学でのユニークな研究に参加してみたい。

 

※1町田守弘「大学院生と追究する国語科の教材開発――サブカルチャー教材の可能性を求めて――」『早稲田大学大学院教育学研究科紀要』29 2019

 

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