Ⅴ.日本とロシアに関する小論文
議論の整理
日本とロシアが直接的に衝突することや、積極的に交流することは多くはない。そのなかで両国が長らく対立しているのが北方領土問題である。北方領土は、第二次世界大戦が終わったと、ロシアの支配下に置かれているため、日本は領土の返還を求めている。
北方領土は北海道の根室半島の沖合にあり、この海域は水産資源が豊富な好漁場でもある。ロシアが死守しているのは、領土そのものではなく漁場であると言うこともできる。領土問題と経済効果が絡み合っているため北方領土に関する議論が進めづらくなっている。
問題発見
日本とロシアが衝突することなく北方領土問題について話し合うことは可能なのか。可能であればどのような方法がとれるのか。
論証
北方領土問題について議論を進めるためには、領土の返還と漁場の問題を分けて考える必要がある。歴史的に見れば、北方領土にはもともとアイヌの人々が暮らしており、江戸時代に幕府が支配するようになる。そのため日本は、先祖から引き継がれてきた土地という想いを強く持っている。いっぽうロシアは、北方領土を所有することで豊かな水産自然を得ることを望んでいる。それを失うことで一定の損失があるため手放すことはできない。
このように、北方領土を所有したいと思う理由がそれぞれ異なるため、議論が前に進まないとも言えるだろう。議論を進めるために民間レベルのコミュニケーションが必要だという見方もある。しかし、そこから得られる利益に関する国家の思惑が絡んでいる以上、日本とロシアという国家レベルで解決することがもっとも望ましい。
結論
日本は、北方領土問題についてロシアと話し合う際、領土の返還と漁場の問題を分けて考える必要がある。もちろん無条件で返還されることが望ましいが、部分的に漁業権を認めるなどの措置をとらないと、話を進められないと考える。
吟味
北方領土に関する話し合いは、解決が長引いてしまったこともあり、私たちも日ごろから意識することがない。そのため定期的にメディア等による情報提供も必要なのではないか。(847文字)
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