■設問
次の文章を読み、あなたが感じ考えたことを、800字以内で述べなさい。
■答案構成
論証1・結論1 → 「すべて言葉をしみじみいふべし」という良寛の言葉は言葉だけでなく人の生き方をも示唆しているということ
論証2・結論2 → 祖母の余命を知ったときに言葉がみつからなかった経験と良寛の言葉
結論の吟味 → 良寛の示した言葉の使い方や生き方を忘れずに努力することが大切
■答案
論証1・結論1 → 「すべて言葉をしみじみいふべし」という良寛の言葉は言葉だけでなく人の生き方をも示唆しているということ
一番印象的だったのは、「すべて言葉をしみじみといふべし」という良寛のことばである。「心を真にそこに託して言葉を発することが、しみじみと言うことなのである」と筆者はいう。便宜的に言葉を使うことを戒め、真の心をともなった言葉のみを発するべきだと解くこの一節は、一見、言葉について述べられているように見える。だが、実は言葉を越えて人としての生き方までも示唆しているのだと思う。「心を真にそこに託して言葉を発する」ということは、その言葉を発したいと思うなら、その言葉にふさわしい心を持たなければならない、ということを意味するからだ。
論証2・結論2 → 祖母の余命を知ったときに言葉がみつからなかった経験と良寛の言葉
この文章を読み、もう一つ考えたことがある。それは数年前の私自身の経験についてである。祖母の余命が長くないと知ったときのことだ。病院のベッドに横たわる祖母を目の前にして、どんな言葉を掛けたらいいのかわからず、私は必死で言葉を探していた。祖母を力づけ励ましたいと思ったが、何を言っても祖母がよくなるわけではない。祖母への言葉は、結局、みつからず、その時の私は、ただ祖母の手をさすることしかできなかった。
その時のことは私の心の片隅から離れることがなく、ときどき苦い思い出として蘇ってきた。しかし、この文章を読んで、あれでよかったのではないかと初めてその時のことを肯定的に捉え直すことができたのである。あの時、私は祖母への愛情ゆえに動揺し、少しでも祖母の力になりたいと思いながら、何をすることもできないという無力感に襲われていた。だが、言葉にできないという気持ちが本当なら、そういう気持ちを託す言葉が見つからなくても当然だ。おそらく祖母も何も言わずに手をさする私の気もちを察してくれていたのではないかと、今は思う。
結論の吟味 → 良寛の示した言葉の使い方や生き方を忘れずに努力することが大切
祖母の入院は私が看護の道を志す契機となった。この文章から学んだ言葉の使い方や生き方を忘れずに、自分が発したいと思う言葉にふさわしい人間になるよう努力したいと考える。(797字)
一番印象的だったのは、「すべて言葉をしみじみといふべし」という良寛のことばである。「心を真にそこに託して言葉を発することが、しみじみと言うことなのである」と筆者はいう。便宜的に言葉を使うことを戒め、真の心をともなった言葉のみを発するべきだと解くこの一節は、一見、言葉について述べられているように見える。だが、実は言葉を越えて人としての生き方までも示唆しているのだと思う。「心を真にそこに託して言葉を発する」ということは、その言葉を発したいと思うなら、その言葉にふさわしい心を持たなければならない、ということを意味するからだ。
この文章を読み、もう一つ考えたことがある。それは数年前の私自身の経験についてである。祖母の余命が長くないと知ったときのことだ。病院のベッドに横たわる祖母を目の前にして、どんな言葉を掛けたらいいのかわからず、私は必死で言葉を探していた。祖母を力づけ励ましたいと思ったが、何を言っても祖母がよくなるわけではない。祖母への言葉は、結局、みつからず、その時の私は、ただ祖母の手をさすることしかできなかった。
その時のことは私の心の片隅から離れることがなく、ときどき苦い思い出として蘇ってきた。しかし、この文章を読んで、あれでよかったのではないかと初めてその時のことを肯定的に捉え直すことができたのである。あの時、私は祖母への愛情ゆえに動揺し、少しでも祖母の力になりたいと思いながら、何をすることもできないという無力感に襲われていた。だが、言葉にできないという気持ちが本当なら、そういう気持ちを託す言葉が見つからなくても当然だ。おそらく祖母も何も言わずに手をさする私の気もちを察してくれていたのではないかと、今は思う。
祖母の入院は私が看護の道を志す契機となった。この文章から学んだ言葉の使い方や生き方を忘れずに、自分が発したいと思う言葉にふさわしい人間になるよう努力したいと考える。(797字)
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