慶應SFC 総合政策学部 AO入試 志望理由書 提出例(中室牧子研究会向け)

 議論の整理・・・少子高齢化が進んでいる日本において、将来の担い手となる子供への投資は重要なトピックとなっている。これは家庭内だけのことでなく、社会全体として考えていく必要がある。政府はこれまでに子供手当やゆとり教育などの教育施策を行ってきたが、その効果について調査を行っていない。また現在、高校授業料の無償化や給付型奨学金といった教育投資を行っているが、その効果の見込みに対して検証が十分に行われているとは言えない。親の所得や学校外教育など多様な項目と学力の関係などを分析した研究は多く存在するが、それらは相関の存在を証明しているにすぎず、因果関係は明らかにされていない。しかし、効果的な教育投資を行っていくためには因果関係こそが重要であり、分析する必要がある。貴学の中室牧子准教授は、その著書※1の中で因果関係分析の重要性を述べており、その研究※23で学力と教育関連項目の関係を実証的に分析している。

 

 問題の発見・・・しかし、ここに問題があると私は考える。というのも、先行研究で用いられる説明変数は研究者の主観で選択されており、ダブりや抜けが存在する可能性を否定できない。

論証・・・先行研究で頻繁に用いられる変数として、両親の学力や所得、睡眠時間、学校外学習時間などが挙げられる。これらの項目を説明変数として効果測定が行われており、その前提にはそれぞれの変数が独立であるという仮定が存在している。しかし、それらの変数間に相関関係があることを否定できない。たとえば、両親の学力と所得は相関関係にあり、また睡眠時間と学校外学習時間の間にも相関関係は少なからず存在すると考えられる。

 

 結論・・・そこで私は学力に影響を与えると考えられる項目間の関係を、機械学習のアルゴリズムを用いて分析したうえで、学力と諸項目の因果関係を明らかにしていきたい。そのため、SFCに入学し、中室牧子准教授の研究会に所属したいと考えている。

 結論の吟味・・・SFCには多様な分野の研究に触れることができ、私の研究に必要な機械学習を用いた研究手法の獲得ができる。また、貴学の中室牧子准教授は教育経済学の分野で代表的な研究者であり、中室教授の研究会にはいることで自身の研究に重要な学びを得られる。したがって、私は慶應義塾大学総合政策学部への入学を強く希望する。

 

1 中室牧子、津川友介(2017)「『原因と結果』の経済学―データから真実を見抜く思考法」ダイヤモンド社

2 Nakamuro, M., Inui, T., & Yamagata, S. (2017)Returns to Education Using the Sample of Twins: Evidence from Japan. Asian Economic Journal. DOI:10.1111/asej.12113

3 Matsuoka, R., Nakamuro, M., & Inui, T. (2015). Emerging inequality in effort: A longitudinal investigation of parental involvement and early elementary school-aged childrens learning time in Japan. Social science research, 54, 159-176

 

 

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