慶應義塾大学 経済学部 小論文 2012年 解説

・ 問題文

次の課題文は、雪の研究で知られる中谷宇吉郎(1900~1962年)が書いた随筆の一部で、ある学校の生徒たちが行った2つの共同研究のうち、「籍柱の研究」に関するものである。これを読んで設問A、Bに答えなさい。解答は解答用紙の所定の欄に横書きで記入しなさい。
A、下線部の「第二期」の研究について、次の (1)、(2) の問いに答えなさい。
(1) 研究の実験内容とその結果を、行われた順番に、320字以内でまとめなさい。
(2) この研究で、最終的に明らかになったことを、100字以内で書きなさい。
B. この課題文を通して、著者が最も伝えたかったことを、160字以内で述べなさい。

・ 問題の解き方

 Aについては、書き方が指定されているのでこの通りに書くほかない。5STEPsも結論・根拠・具体例も使うことができないめずらしい問題。
 Bについては、字数的に結論・根拠・具体例のフォーマットを用いる。
研究の目的……人工の霜柱を作る
・ 木箱のそこに土を入れて、上にドライアイスを入れた箱をおいて見たら、立派に霜柱が立った。
・ 他の適当な粉に適当に水分を含ませたら霜柱が出来るかを検証したができなかった。

研究の目的……なぜ関東圏の赤土だけが霜柱を作るのか
・ 粒子の吸着水のためかと考えたが、吸着性が高いものでも霜柱はできるから違う
・ 赤土の有機物を焼き飛ばしても霜柱は出来る。
・ 沈底法により非常に細かい粒子と荒い粒子とを分けたら、微粒子の方で霜柱が存在する可能性があることがわかった。
・ 土の表面に小さい凹凸があって、その中の尖った点から凍り始めた場合は霜柱ができることがわかった

・ 模範解答

A(1)

この研究はまず、人工の霜柱を作ることを目的とした。ここで、木箱内に土を入れ、ドライアイスを入れた箱をおいただけでも霜柱ができることがわかった。また一方で、他の適当な粉に、適当な水分を含まれることも考えたが、ここではできなかった。
さらにここで、実験の目的は、なぜ関東圏の赤土に霜柱が出来るのかに集約された。ここで実験では、沈底法より、非常に細かい粒子と粗い粒子とに分けた。すると、粒子の表面に小さな凹凸がある場合には、霜柱ができるということがわかった。さらには、赤土以外の土でも、極めて細かい粒子にし、表面に凹凸がある形にすると、霜柱ができることも併せて判明した。

A(2)

この実験により、土を極めて細かい粒子にし、表面に凹凸をつけることで、霜柱ができることが分かった。また、赤土だけではなく他の土でも、粒子が細かく表面に凹凸さえあれば、霜柱を形成可能なことがわかった。

B

筆者は、旧来の研究で見られる官僚的な仕事ぶりを嫌い、その上で素人の自由で純粋な好奇心こそが研究を進展させると考えている。その理由としては、こうした自由で純粋な好奇心によって支えられた研究が、絶え間ない探求を有無、幾つかな研究において優れた成果を出しているためである。

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