慶應SFC 環境情報学部 2024年 小論文解答例(暫定版)

1.

これらの問題に共通する領域は、知的心構えについての領域に関する出題であることであり、構造としては抽象的な概念と具体的な例を行き来して思考させる構造であると考える。また、受験生に求めている知的能力としては、抽象と具体の行き来が出来ることは当然として、自らも含めた学びのあり方、知的心構えについて俯瞰的に観察しあるべき姿を知的探求する能力、馴染みがない概念について理解する能力であると考える。これら問題では、抽象思考能力、俯瞰能力、知的探求能力、概念理解力の四つを測ろうとしていると考えられる。
(246文字)

2.
過去問題4,5,6ではそれぞれまず最小単位として行うべき処理を単純化し、それを全体に拡張することによって全体の処理を行うという構造を取っている。つまり小単位において処理の内容を見つけ、それを一般化して全体に適応するということである。このとき測られる知的能力は最小単位として行うべき処理を発見する問題発見能力、それを一般化するという概念の抽象化力、そしてそれを全体に適用するという概念の具体化力の三点である。これらがすべて揃うことですべての問題を答えることができ、一方でどれかが欠けていたとしても部分点で持っている能力については評価されるという形になっている。
(280文字)

3-1(1).
抽象思考能力、俯瞰能力、知的探求能力、概念理解力

3-1(2).
最小単位として行うべき処理を発見する問題発見能力、それを一般化するという概念の抽象化力、そしてそれを全体に適用するという概念の具体化力

3-1(3).
実装優先思考

3-1(4).
慶應SFCの小論文やAO入試ではどのようにすれば問題解決ができるかという問題解決策の提案をなされてきた。しかし、問題解決する上で本当に重要なのは問題解決策の提案ではなく問題解決策の実装である。そこで本試験では問題解決策の実装に焦点を当てて、問題解決策の実装を行える環境で受験生の問題解決能力を測るものとしている。またそれぞれの問題解決策の実装は高校までの指導の範囲に加えて、当日大学で用意しているpdf化されたプログラミングやプロトタイピングの参考書やインターネット、ChatGPTを自由に用いて良いものとするが、外部との連絡は厳しく禁じられ、ログが残っていたら失格となる。
(287文字)

3-2.
慶應SFCは「問題発見・問題解決」のキャンパスである。しかし、しばしば斬新な切り口の「問題発見」ばかりがメディアなどで取り上げられ、「問題解決」の基礎となる実装力に乏しい学生が多いことから「意識高い系」などという批判を世間から受けることもある。こうした汚名を返上するために、問題解決策の実装能力がある学生を合格させるために「問題解決」というミニ試験を午後1時から午後7時の6時間にわたって行うこととした。
「問題解決」ミニ試験は「ググる(検索する)」能力試験と行っても良い。受験生にはそれぞれ5名ずつのグループを作ってもらい、それぞれに対して解決すべき課題が与えられる。例えばここでは例として「日本国内におけるアファーマティブ・アクションによる不公平な採用が公務員の賃金水準に与える影響について分析して、それについての自分の意見を論じるレポートを提出してください」というお題を出されたとしよう。
5人の受験生はこの問題に解答するためにどのような手段を用いても良い。インターネットで検索して出てきた答えをそのまま書いても良いし、自分で各自治体の賃金水準のデーターセットや各自治体における民族的マイノリティの人数などが分かるデーターセットを用意し、統計ソフトをPCに導入して、高校で習った統計の内容を参考にChatGPTに計量モデルをどのように実装すればよいか質問しながら統計ソフトで分析を進め、その結果をレポートにして提出しても良い。これこそがこの問題で求められる解決策実装能力である。
この問題の採点基準としては、言うまでもないことだがインターネットで検索して出てきた答えをそのまま書いた場合には大幅な減点があるようにしなければならない。評価の軸を、先行論文分析能力、問題発見能力、原因分析能力、解決策立案能力、解決策実装能力の5つに定め、それぞれについて5段階の点数基準を設ける。たとえばすべての能力について、日本国内に同様の先行事例がある場合1点、海外に同様の先行事例がある場合2点、日本国内の先行事例に対して優位性がある場合3点、海外の先行事例に対して優位性がある場合は4点、SFCの担当採点官全員がぜひとも合格してこの研究を続けてほしいと思うだけの能力が認められた場合には5点、というような形で明確な基準を設ける。また、先行論文分析能力、問題発見能力、原因分析能力、解決策立案能力は全体の評価の2割とし、残り8割を解決策実装能力により評価する。

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