慶應SFC 環境情報学部 1998年 小論文 解説【林塾長作成】

問題(200/200)(1000字)

 

議論の整理(25/200)……資料2、SNSによって大きく変わった言論の自由のあり方

……参考にした資料の紹介5、資料から導かれる現代社会にたいする分析、書けていれば5、新規性10、緻密性5、主語・対象語・動詞抜け、漢字間違い、送り仮名間違い(各-1)、論理飛躍各-1

 

 

資料2では言語表現の限界として、相手がわからないものを伝えることはできない、思想を一定の型に入れてしまう、という二つの限界を紹介している。こうした言語表現の限界は、SNSの出現により発信者が急激に拡大した現代においてさらに顕在化しつつある。

 

問題発見(25/200)……SNSなどでのポスト真実社会の出現

……書けていれば10、新規性10、緻密性5、主語・対象語・動詞抜け、漢字間違い、送り仮名間違い(各-1)、論理飛躍各-1

 

 

こうした問題が顕在化している一例として、SNSなどにおけるポスト真実社会の出現がある。情報発信の際に、書き手の知性を問わないSNSのあり方は、多くの人が知り得ない思想的立ち位置の濃淡や理論的根拠を無視するという反知性主義的なあり方を拡大させつつある。

 

論証(100/200)……「どのメディアを選ぶかによって、表現もまた影響を受けます」「メディアは表現によってメディアとして機能します」

……ピラミットストラクチャーA→B,C各書けていれば10、新規性20、緻密性20、主語・対象語・動詞抜け、漢字間違い、送り仮名間違い(各-1)、論理飛躍各-1

 

 

問題文中に「どのメディアを選ぶかによって、表現もまた影響を受けます」「メディアは表現によってメディアとして機能します」とあるが、SNSについても同じことが言える。

まず、「どのメディアを選ぶかによって、表現もまた影響を受けます」という点について言えば、SNSは多くの人が拡散した情報がより大きく拡散されるという性質を持っている。そして、多くの人が拡散する情報は、特定の人物や民族を称賛するものではなく、むしろ根拠なく誹謗中傷するものであったりする。これは、人間の特性として自分より劣っているものを論って安心したいという差別心があるためだ。そして、このようなコンテンツが大きな反響を持って迎えられるメディアでは、表現はますます過激な誹謗中傷へと向かっていく。

また、「メディアは表現によってメディアとして機能します」という点については、こうした表現が跋扈するメディアにおいては、人々は差別主義的であろうとするという点で同意できる。エーリッヒ・フロムが述べたように、人は力の正しさではなく力の強さに屈服するものだ。それは自らが孤独である、ということは人間にとってもっとも耐え難いものであるためだ。そのため、SNS上では本来差別主義者でなかった人までが差別主義者になる。こうしたSNSの性質は表現の自由のあり方を考えるもので無視できないだろう。

 

結論(25/200)……ポスト真実社会は市場の失敗

……書けていれば5、新規性10、緻密性10、主語・対象語・動詞抜け、漢字間違い、送り仮名間違い(各-1)、論理飛躍各-1

 

 

こうしたポスト真実社会は、SNSによる市場の失敗によって生まれたものだ。多くの主体は民間企業として収益を最優先に運営することでより高い付加価値を生み出すが、ことSNSについては、公益性の高いメディアという側面があることから、市場原理の例外的存在であったことがいえるのだと私は考える。

 

吟味(25/200)……拡散数・閲覧数以外の情報尺度を政府主導で設ける

……書けていれば5、新規性10、緻密性10、主語・対象語・動詞抜け、漢字間違い、送り仮名間違い(各-1)、論理飛躍各-1

 

 

そこで、表現行為とメディアの関係について、私はことSNSにおける情報の表示に際しては、拡散数・閲覧数以外の情報尺度を政府主導で設けるなどなんらかの形でのSNS規制が必要だと私は考える。

 

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