- 議論の整理
今やオリンピックは世界中の人々が注目する一大事業となっている。このように多様な国家やエスニシティを巻き込んだ「メガ・イベント」は、学術的に見ても非常に興味深いものであり、歴史学や近代地理学など多岐にわたる領域で研究材料を提供している。その中でも社会学が対象とすべき材料は多く見受けられ、ジェンダーや国家間の所得格差、主催国のモダニティなど現代社会が抱える諸問題がメガ・イベントを通して浮かび上がってくる。
- 問題発見
ホーン教授はこのようなスポーツのメガ・イベントを消費社会の枠組みの中から論じてきた。現代のトランスナショナルな資本主義の構造に大きな影響を与えるものが、テレビやインターネットといったマスメディアであるとすれば、オリンピックにおけるメディアの役割を明らかにすることでメガ・イベントと消費社会の連関について詳細な議論ができるのではないだろうか。
- 論証
ロッシュはメガ・イベントの初期の定義として、そのドラマチックな性格をもち、大衆からの支持を得ているという点に言及しているが、確かにスポーツビジネス学の観点からもスポーツは観客に明瞭なストーリーを提供することで人気を得ているとする言説が多い。一方で、このような分かりやすさは時にプロパガンダの手法として大衆の印象を操作する目的で使われることもある。私は社会学が掲げる現代の諸問題を軸として、メディアがメガ・イベントをどのように性格づけていったのかを検討したい。
- 結論
社会学の持つテーマに対してスポーツを入り口として論じることは、一般の人々からも比較的受容されやすいと考える。この研究により社会学の新しい地平が開かれ、多くの人間の間で活発な議論が行われることを期待している。
- 結論の吟味
上記研究を行うにあたって、文化論の観点からスポーツという社会現象を論じてきた代表的な研究者の一人であるホーン教授のもとで学ぶことを強く希望する。
参考文献
Horne (2019). On the Olympic Games: An Afterword. International Journal of Japanese Sociology. 28, 128-130
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