- 議論の整理
わが国におけるスポーツ栄養学の歴史は比較的浅く、トップアスリートに対する本格的な栄養サポートが開始されたのは1988年のソウルオリンピック以降であるという。これまでの研究により、身体活動量が多く、消費エネルギーの多いスポーツ選手に対して栄養学が取り組むべき課題が抽出されてきたが、競技力向上のために必要な栄養摂取量や摂取方法などの具体的な解決策についてはいまだ多くのことが分かっていない。公認スポーツ栄養士制度などの体制面でのサポートが整備されつつある今、スポーツ栄養学研究の需要はさらに増している。
- 問題発見
このような現状を踏まえ、アスリートの栄養摂取に関して少しでも多くのエビデンスが必要とされることは明らかである。例えば日頃からトレーニングを行うアスリートにとって、栄養を摂取するタイミングはいつが最適なのだろうか。この問いに対しても、競技の種類や性別などによって答えが変わると考えられるが、その研究例が少ないことは否めない。
- 論証
栄養摂取時期が選手のコンディションに影響を及ぼす事例の研究として、樋口教授らはインスリンショックという現象を誘発する条件の検討を、朝食摂取の有無という観点から行っている。この研究は従来の研究よりも現場の状況に近い条件での検討であることから実用的であると言える。私もスポーツ現場を反映した実験系を検討し、栄養摂取時期がアスリートの身体に及ぼす影響に関して少しでも多くのエビデンスを蓄積していきたいと考えている。
- 結論
スポーツ栄養学はより良い身体づくりをサポートするという点で、アスリートのみならず一般人の健康を増進することに貢献できる余地がある。いまだ発展途上の分野であり取り組むべきことも多いが、だからこそ私はこの学問領域に大きな魅力を感じている。
- 結論の吟味
上記のような研究を行うにあたって、日本のスポーツ栄養学研究の先駆者である田口教授のもとで学ぶことを強く希望する。また、貴学での活動を活かし、公認スポーツ栄養士の資格取得も目指したい。
参考文献
田口素子(2014).「わが国のスポーツ栄養の歴史と展望」『栄養—評価と治療』, 30(2), 18-20
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