- 議論の整理・・・
コーポレートガバナンス(Corporate Governance)とは、「企業統治」と訳され、会社は経営者のものではなく、資本を投下している株主のものであるという考え方に基づいて、企業経営を監視する仕組みのことである。
その背景には、会社側は企業価値の向上に努めて、株主に対して最大限の利益の還元をすることを目的とすべきであるという考え方がある。具体的には、取締役と執行役の分離、社外取締役の設置などが行われており、企業経営者による暴走を阻止するなどの効果がある。
- 問題発見・・・
では、コーポレートガバナンスの理念に関連して、取締役制度についてどのような改革が行われてきたのだろうか。また、取締役制度の改革に対して、どのような議論が行われてきたのだろうか。
- 論証・・・
私は、これらの問いに答えるには、日本の会社法の歴史的発展過程の正確かつ緻密な理解を前提として、取締役会制度の変遷について体系的に整理することが重要だと考える。例えば、岩原紳作教授は、コーポレートガバナンス改革に対しては、ROEやROAなどの企業業績の重視が企業における株主主権論の立場からの反対が根強いものの、「モニタリング・モデル」など改革の考え方は、決して他のステークホルダーの利益を無視しているものではない点や、企業結合(企業グループ)のガバナンスの問題も避けることはできず、親子会社、兄弟会社、企業グループなど企業結合におけるガバナンスのあり方が大きな課題となる点などを指摘している[1]。
- 結論・・・
そこで、現代企業法の展開、商事法の展望、あたらしい金融システムと法、電子決済と法などを研究し、商法、会社法、金融法の専門家として名高い貴学法学部の岩原紳作教授に師事し、上述の問題点を整理するべく日本における会社法政策のあり方について研究を深めたいと考えている。
貴学法学部の岩原紳作研究会が上述の研究を進めるのに最適な研究環境との確信のもと、貴学法学部に入学し岩原紳作研究会に入会することを強く希望する。
[1] 岩原紳作「コーポレートガバナンス」月刊資本市場375号(2016年)46-58頁。
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