早稲田大学 法学部 AO入試 志望理由書 提出例(寺崎嘉博研究会向け)

  • 議論の整理・・・

罪刑法定主義は、行為後に施行された刑罰法規に遡及効を認め、施行前の行為を処罰することは許されない遡及処罰禁止原則を要請する。そして、遡及処罰禁止原則は、犯罪と刑罰とを規定する法律である実体刑法にのみ適用されるものであるため、訴訟法的性質を有する規定については、行為後に変更された新しい規定をその事件に適用しても遡及処罰禁止原則に触れるものではないと、一般的には解されている。そのため、訴訟法規程の新設や改正については、改正前の事件に対しても裁判時の規定を適用するのが原則であると考えられてきた。

  • 問題発見・・・

では、原則としてはそのように解するとしても、犯罪行為の後に、行為者にとって不利益に変更された訴訟法規程をその事件に適用することが許されない場合は、一切ないと断言できるのであろうか。

  • 論証・・・

私は、これらの問いに答えるには、日本の刑法や刑事訴訟法の歴史的発展過程の正確かつ緻密な理解を前提として、遡及処罰禁止原則の実体法上及び訴訟法上の意義や関係性について、再検討することが重要だと考える。例えば、刑事訴訟法学者の寺崎嘉博教授は、刑事訴訟法における進法優先主義の合理性に疑いの目を向けており、新設・改正された規定の法的性質如何で遡及処罰禁止原則の適用の有無を判断しているこれまでの通説や判例の定式に対して、検討・批判を加えている[1]

  • 結論・・・

そこで、刑事手続に於ける伝聞証拠の研究、体系書(刑事訴訟法)の執筆、刑事証拠法の研究などに専門的に取り組まれ、刑事訴訟法学の専門家として名高い貴学法学部の寺崎嘉博教授に師事し、上述の問題点を整理するべく日本における刑事司法手続のあり方について研究を深めたいと考えている。

貴学法学部の寺崎嘉博研究会が上述の研究を進めるのに最適な研究環境との確信のもと、貴学法学部に入学し寺崎嘉博研究会に入会することを強く希望する。

[1] 寺崎嘉博「刑事訴訟法に於る新法優先主義についての反省」北大法学論集32巻2号(1981年)79-106頁。

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