■議論の整理
近年、世界の各地で今まででは考えられなかったような規模での気象災害が頻発している。2019年の9月に関東地方に上陸した台風15号は千葉県を中心に暴風による甚大な被害をもたらした。その翌月の10月には台風19号(ハギビス)が上陸し、阿武隈川や千曲川の堤防が決壊するなどの大規模な水害がおきた。結果、床上・床下浸水合わせて3万棟近い住家に被害が出ている。一方で、永年の治水工事が身を結んだ地域もあった。首都圏外郭放水路や神田川・環状7号線地下調整池などである。治水工事は費用も時間もかかる上に、平時には効果が見えない。しかし非常に重要であるということが示されることとなった。
■問題発見
しかし、すでに治水工事が水防設備が存在しているからといって、安心できる時代は終わったのではないか。気候変動の影響か、台風の威力が強まっている。台風でなくとも豪雨が降ることも増えてきた。
■論証
実際に、ハギビスは治水工事が進んでいるはずの都心部にも水害を引き起こした。神奈川県川崎市の武蔵小杉駅では、内水氾濫によって駅の自動改札機が水没したほか、近隣のタワーマンションの地下電気系統が浸水するなどの被害があった。武蔵小杉は、豪雨時に雨水を多摩川に排出することが想定されていた。しかしその排水管から川の水が逆流してしまったのだ。
■結論
これからの時代の災害対策を考えるためには、まずはその土地が今までどのような治水工事が行われてきたのかを知らなくてはならない。その工事がどの程度の災害を想定し、どの地域を守ために行われたのかをもとにしなくては、今の時代の即した対策だったのかの評価を行うことはできない。そのようなことを総合的に鑑みて、地域の地理的な特徴を紐解いて行かなくてはならないと考える。
■結論の吟味
以上の理由で、早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修に入学し、久保純子教授の下で学びたい。
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