■議論の整理
文化庁の平成30年度「国語に関する世論調査」によると、1ヶ月に1冊も本を読まない人が約半数いるという。1990年代末から現在に至るまでに国内書店数は半減するなど、現在は「出版不況」の時代であると言われるようになった。しかし、スマートフォンの所有率が10代から40代の間で80%超え(総務省「平成30年度情報通信白書」より)、電子書籍サービスも主流になりつつある今、読書は今までよりもより気軽に行える行為になっているとも言えるのではないか。確かに、SNSや動画配信サービスなどの娯楽も一般化し、読書以上に気軽で楽しめることが世の中に増えている。それでも、「他に楽しいことがあるから読書をしない」というだけでは、人が本を読まなくなっている理由の説明にはならない。人々がそもそも何を目的として本を読むのかが分からないままに、読まない理由を考察することはできない。
■問題発見
歴史の中で人が何を目的として、どのように読書をしてきたのか。それを知ることが、今の時代に生きる私たちがどのように読書という行為に向き合うべきなのか、またこれからの読書と人々との関係性はどうなっていくのかを考える手掛かりになるのではないか。
■論証
読書が今のような一人で静かに読む行為であると一般的に考えられるようになったのは明治以降であり、それ以前は誰かが音読して周囲にも聞かせることが多かった*。
■結論
本の読み方は時代によって異なる。当然読書に対しての捉え方も異なっていたはずである。どのようにして読書との向き合い方が変わっていったのかを知ることで、これからの社会における読書のあり方を考えるとともに、読書という行為が持つ意味合いを学んでいきたい。
■結論の吟味
以上の理由から、貴学教育学部に入学し、和田敦彦教授の研究会に入会することを強く希望する。
*参照:津野海太郎『読書と日本人』岩波新書
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