設問1
本論の要旨を400字以内にまとめなさい。
議論の整理→筆者の主張の整理
筆者は歩行機能と言語の比較をしている。歩行は人間に固有の生物学的な機能であり、どの世界で育っても普遍的な発達である一方、言語は社会集団に起因するもので、どのような社会で育ったかにより大きく変異するものだと規定した。
問題発見→言語の何が特異なのか?
では言語の固有性とは何であろうか。
論証→言語と思考の関係
筆者は言語を「意図的に算出した記号の体系によって、思想、感情、または欲望を伝達するための純粋に人間的で非本能的な方法」と定義する。つまり、言語の本質は、慣習的・意図的に調音された音声や文字を経験の要素に割り当てることであり、人間の言葉自体が本能的だとはいえない。たとえば「家」という言語要素も、集積された概念の記号として機能しているということができる。
解決策or結論→言語なしの思考は不可能
そのため、言葉なしで思考をすることは不可能であると筆者は主張する。イメージと思考を完全に分離することは不可能だからだ。
解決策or結論の吟味→結論を吟味する
以上のことから、筆者の主張は、言語は人間の世界を規定することである、といえる。(398字)
設問2
本論に対する自分の意見を400字以内で述べなさい。本論全体に対する意見でもよいし、いくつかの、あるいはひとつの論点に的を絞った意見でもよい。
議論の整理→筆者の主張に対する意見
言語が人間の世界を規定する、という考えについては賛成である。
問題発見→言語が思考に影響を与えるには具体的にどのような例があるか?
たとえば日本語とドイツ語では文法が大きく異なるが、言語が人間の思考や習慣に影響を与えているとはいえないだろうか。
論証→日本語とドイツ語の構造
日本語では否定詞が文末に来ることが多いのに対し、ドイツ語の場合は前半にくることが多い。つまり、日本語は文を最後まで聞かないと相手の意見が判断できないのに対し、ドイツ語では初期段階で相手の意見がわかる。この構造の違いから、日本語の場合は相手の意見を傾聴する姿勢が生まれる一方、ドイツ語の場合は相手の意見に対して自分の意見をどのように組み立てるかという思考が早期に行われる、いえないだろうか。
解決策or結論→言語が人間の思考に影響を与えているといえる
このように言語が人間の思考や習慣に大きな影響を与えている、という主張は妥当だと考える。
解決策or結論の吟味→結論を吟味する
言語のみならず教育や育った社会の影響も当然あるだろうが、そもそも社会自体が言語をもとに成立していることを考えると、言語が世界を規定するといえるだろう。(398字)
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