上智大学 総合人間科学部 社会福祉学科 編入学試験 2016年 小論文 解答例

■ 設問

以下の文章を読んで,次の問題1,問題2の質問に答えなさい。

(各解答は,それぞれ800字以内です。解答用紙のはじめに問題の番号を書くこと。)

問題1. 「公私協働で地域社会の生活課題」に取り組んでいる活動事例を紹介し,その活動の公私協働についてあなたの意見を述べなさい。

問題2. 「だれが主体となって,どのように地域福祉を推進」していけるか,あなたの意見を述べなさい。

 

(略)超高齢少子社会の進展と併せて財政状況の悪化から,制度的な資源の拡充が見込めない一方で,人々が抱える問題やニーズは複雑多様化している。そのため,住民同士の互助を重視し,公私協働で地域社会の生活課題に取り組む地域福祉への期待は,今後ますます大きくなると考えられる。

しかし,その反面,人口の流出,住民相互の関係性や連帯意識の希薄化,世代間における生活感覚の相違など,地域社会の構造そのものが揺らいでいる現状がある。また,地域で孤立したり,排除される人々の存在も大きな問題となっている。人的・物的資源が限られ,人々のコミュニティへの帰属意識や関心も薄らぐ中,だれが主体となって,どのように地域福祉を推進し,安心・安全な暮らしを実現していけばよいのだろうか。

出典:社会福祉研究編集室「特集 市民生活における『新たな支え合い』の検証・地域福祉の機能を問う」『社会福祉研究』第123号,18頁,2015年

 

■ 問題1

■ 答案構成

議論の整理→ 急拡大する「子ども食堂」ネットワーク

問題発見→ 子ども食堂は応急手当であって根治治療にあらず

論証→ 持続可能な取り組みへ昇格させるためには,「公」の支援が不可欠である

解決策or結論→ 「子どもの貧困問題」への抜本策も同時並行で推進したい

解決策or結論の吟味→ 

 

■ 答案

議論の整理→ 急拡大する「子ども食堂」ネットワーク

地域社会における「子どもの貧困問題」は喫緊の生活課題である。ここでは,その対策の一案として全国的に広まった「子ども食堂」を取り挙げる。これはもともと民間発祥の取り組みで,地域の大人が貧困家庭や孤食の子どもに無償もしくは廉価で食事を提供する場所として始まった。その運営形態も様々で,食堂という形を取らず,子どもが放課後に過ごすことのできる食事付きの場所であったり,地域のすべての子どもや親,大人に開放された,対象者を限定しない食堂であったり,地域の人々をつなぐ「地域の拠点」としての役割も併せ持つところもある。そして,子ども食堂の維持運営のため,公的補助金を支出する自治体は全国的に増えている。これも公私協働のひとつの形である。

問題発見→ 子ども食堂は応急手当であって根治治療にあらず

子ども食堂の急拡大は,子どもの貧困への関心が高まったことの証である。ケガ人を見つけたら自分ができる手当てをしてあげたいと思う気持ちと根は同じである。しかしケガの程度によっては医療機関での処置を必要とする。つまり,子ども食堂はあくまでも“応急手当”であって“根治治療”ではない。子どもの貧困問題は,社会的な根治治療が圧倒的に不足しているのが実状である。

論証→ 持続可能な取り組みへ昇格させるためには,「公」の支援が不可欠である

しかし,一般市民が参加できる子どもの貧困対策として,子ども食堂は重要な意味を持つ。これを持続可能な取り組みにしていくためには,公的支援,特に運営資金の援助とコア人材の確保が不可欠である。子ども食堂を一種の公的事業と見立てて「しくみ化」する政策の実施を切に期待したい。一時しのぎのバラマキ政策にすぎない「子ども手当」よりも実効性が高いのは火を見るよりも明らかである。

解決策or結論→ 「子どもの貧困問題」への抜本策も同時並行で推進したい

さらにそれと並行して,子どもの貧困問題への抜本策として,世帯所得を向上させる経済施策(生活支援や就労支援など)と,その子どもに対して必要十分な教育を受ける機会を提供する社会的しくみ(給付型奨学金や進学支援など)の構築も,推し進めたい。

解決策or結論の吟味→ 

 

地域社会における「子どもの貧困問題」は喫緊の生活課題である。ここでは,その対策の一案として全国的に広まった「子ども食堂」を取り挙げる。これはもともと民間発祥の取り組みで,地域の大人が貧困家庭や孤食の子どもに無償もしくは廉価で食事を提供する場所として始まった。その運営形態も様々で,食堂という形を取らず,子どもが放課後に過ごすことのできる食事付きの場所であったり,地域のすべての子どもや親,大人に開放された,対象者を限定しない食堂であったり,地域の人々をつなぐ「地域の拠点」としての役割も併せ持つところもある。そして,子ども食堂の維持運営のため,公的補助金を支出する自治体は全国的に増えている。これも公私協働のひとつの形である。

子ども食堂の急拡大は,子どもの貧困への関心が高まったことの証である。ケガ人を見つけたら自分ができる手当てをしてあげたいと思う気持ちと根は同じである。しかしケガの程度によっては医療機関での処置を必要とする。つまり,子ども食堂はあくまでも“応急手当”であって“根治治療”ではない。子どもの貧困問題は,社会的な根治治療が圧倒的に不足しているのが実状である。

しかし,一般市民が参加できる子どもの貧困対策として,子ども食堂は重要な意味を持つ。これを持続可能な取り組みにしていくためには,公的支援,特に運営資金の援助とコア人材の確保が不可欠である。子ども食堂を一種の公的事業と見立てて「しくみ化」する政策の実施を切に期待したい。一時しのぎのバラマキ政策にすぎない「子ども手当」よりも実効性が高いのは火を見るよりも明らかである。

さらにそれと並行して,子どもの貧困問題への抜本策として,世帯所得を向上させる経済施策(生活支援や就労支援など)と,その子どもに対して必要十分な教育を受ける機会を提供する社会的しくみ(給付型奨学金や進学支援など)の構築も,推し進めたい。(787字)

 

 

■ 問題2

■ 答案構成

議論の整理→ 地域福祉サービス事業の主体は行政機関である

問題発見→ 社会環境の変化に抗うサービス存続の鍵は行政が握る

論証→ 行政機関は司令塔であり,潤滑油である。

解決策or結論→ 行政機関は司令塔でもあり潤滑油でもある

解決策or結論の吟味→ この公私協働モデルは全国的に実績がある

 

■ 答案

議論の整理→ 地域福祉サービス事業の主体は行政機関である

事業が「地域福祉」である以上,継続性の観点から考えれば,市町村の行政機関が推進主体となるべきである。しかし,行政機関職員数にも制限があるため,すべてのサービスを行政主体とするのは現実的ではない。かといって,民間主体としても提供可能なサービスには限界がある。そこで,あくまでも行政機関を事業主体としながらも,経験豊かなシルバー人材やボランティアを集めて地域ごとに組織化し地域福祉推進の実働部隊とするような構成が望ましい。

問題発見→ 社会環境の変化に抗うサービス存続の鍵は行政が握る

しかし,民間人を実働部隊とする場合には,直接の利害関係が存在しないことに因る「基盤のもろさ」に注意が必要である。さらに,「住民相互の関係性や連帯意識の希薄化」への対抗策や,「世代間における生活感覚の相違」を解消するようなしかけも必要となろう。「地域で孤立したり,排除される人々」の救済策も課題となる。

論証→ 行政機関は司令塔であり,潤滑油である。

地域住民の連帯意識が希薄化するなかで福祉に限らず地域活動の継承性を確保するためには,主体となる行政機関による管理統制は必須である。特に,地域活動が停滞したときのアクセル役,さらにサービス継続に問題が生じた場合のつなぎ役として,行政機関が地域活動をテコ入れすることが重要である。また,世代間における生活感覚の相違を解消するには,たとえば自治会・町内会など世代を超えた地域住民の集まりを企画し,互いを知る機会を設けることが有効である。一方,地域で孤立したり排除される住民のケアは民間では負担が大きい。心理カウンセラーなどの専門職と連携し行政が主体となって対処すべきだろう。

解決策or結論→ 行政機関は司令塔でもあり潤滑油でもある

すなわち,基本的に「地域で見守り,地域で生活を支え合える」仕組みの骨子作りは行政が主体となるべきである。たとえ実働部隊が民間であっても,「司令塔」(時に「潤滑油」)となるのもまた行政機関の役割である。

解決策or結論の吟味→ この公私協働モデルは全国的に実績がある

この役割分担と枠組みがうまく機能しているモデルケースも数多く報告されている。

 

事業が「地域福祉」である以上,継続性の観点から考えれば,市町村の行政機関が推進主体となるべきである。しかし,行政機関職員数にも制限があるため,すべてのサービスを行政主体とするのは現実的ではない。かといって,民間主体としても提供可能なサービスには限界がある。そこで,あくまでも行政機関を事業主体としながらも,経験豊かなシルバー人材やボランティアを集めて地域ごとに組織化し地域福祉推進の実働部隊とするような構成が望ましい。

しかし,民間人を実働部隊とする場合には,直接の利害関係が存在しないことに因る「基盤のもろさ」に注意が必要である。さらに,「住民相互の関係性や連帯意識の希薄化」への対抗策や,「世代間における生活感覚の相違」を解消するようなしかけも必要となろう。「地域で孤立したり,排除される人々」の救済策も課題となる。

地域住民の連帯意識が希薄化するなかで福祉に限らず地域活動の継承性を確保するためには,主体となる行政機関による管理統制は必須である。特に,地域活動が停滞したときのアクセル役,さらにサービス継続に問題が生じた場合のつなぎ役として,行政機関が地域活動をテコ入れすることが重要である。また,世代間における生活感覚の相違を解消するには,たとえば自治会・町内会など世代を超えた地域住民の集まりを企画し,互いを知る機会を設けることが有効である。一方,地域で孤立したり排除される住民のケアは民間では負担が大きい。心理カウンセラーなどの専門職と連携し行政が主体となって対処すべきだろう。

すなわち,基本的に「地域で見守り,地域で生活を支え合える」仕組みの骨子作りは行政が主体となるべきである。たとえ実働部隊が民間であっても,「司令塔」(時に「潤滑油」)となるのもまた行政機関の役割である。

この役割分担と枠組みがうまく機能しているモデルケースも数多く報告されている。(781字)

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