☆ 炭素税
議論の整理……
近年、環境問題についてはますます関心が高まっている一方、環境問題が解決す る兆しはなかなか見えてこない。
問題発見……
環境問題がこれほど深刻化しながらも、一向に解決しない理由は、環境破壊が外 部不経済をもたらすものであることである。多くの場合、人間は良いことをすれば 良い結果を得ることが出来、悪いことをすればその報いに悩まされる。ところが環 境問題については、環境を破壊すればするほど利益が得られ、一方で環境を保護す ればするほど利益を減らす構造がある。
論証……
このような構造になっている原因は、市場は常に健全に作用するという信仰にも 近い考え方で、政府が環境問題に対する規制を行っているためである。そのため、 政府による環境規制や環境に関する指針は、しばしば守らないほうが利益が上がる 程度の経済的インセンティブしか持たず、結果として環境問題の解決が遅れること になる。こうした例の一つとしては、炭素税がある。炭素税はしばしば環境破壊を 食い止めるには低すぎる税率に収束するが、その根本的な理由は、税率を官僚機構 が決めているためである。
解決策or結論……
このように炭素税は環境破壊を食い止めるには十分な経済的インセンティブを与 えないケースが多いことから、現在注目されているのは、排出権取引である。排出 権取引とは、各国家・各企業・各個人ごとに、許容できる温室効果ガスの排出量を 定め、そこから逸脱した分については排出権を買わなければ排出してはならないと 定める仕組みである。
解決策or結論の吟味……
この仕組を導入することによって、市場により排出権の価格が決定するため、温 室効果ガスを減らさなければならないというインセンティブが高まる。また、排出 量を削減した場合、新たな収益源を得られることも、温室効果ガス削減に向けた大 きな動機づけになるだろう。
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