早稲田大学 人間科学部 2001年 小論文 過去問解説

【vbw01120 人間科学部入学試験】

設問

これは、5STEPを使って解くべき問題。しかし、文字制限が800字以上1000字と多いため、複数の着眼点について入れ子構造で記述すると良い。

議論の整理→ 1981年の時点と1997年の子どもを比較する
問題発見→ 描画の成熟度の違いから読み取れる子どもの情緒的発達の低下
論証①→ 家や人間の記号化から読み取れる、子どもの人間関係の希薄さ
論証②→ 非現実的な題材から読み取れる、子どもの関心の変化
解決策or結論→ 人との直接的な関わりを多く積むことが重要 
解決策or結論の吟味→ 考察を深めるには子どもの背景情報を収集することが必要

  • 答案例

議論の整理→ 1981年の時点と1997年の子どもを比較する

このような描画は、描いた人の性格傾向や心理状態の一側面を反映すると考えられている。ここでは、1981年と1997年の高齢児童の絵画には複数の相違点があり、これを比較することで、子どもの特徴の変化について考察する。

問題発見→ 描画の成熟度の違いから読み取れる子どもの情緒的発達の低下

まず目につくのが、1981年の絵が精密な描写であるのに比べて、1997年の絵は、全体的に稚拙な点である。こうした描画の成熟度は、子どもの情緒的発達の程度を反映すると考えられている。このような観点からは、1981年に比べて、1997年の子どもは、情緒的発達が未成熟であるといえる、

論証①→ 家や人間の記号化から読み取れる、子どもの人間関係の希薄さ

その原因の一つとして、核家族化が進み、子どもと地域とのつながりが減少していることが挙げられる。たとえば、1981年の絵の家は、紙からはみ出す勢いで大きく描かれているものが散見されるが、1997年の家は、どの絵も一様に四角の上に三角を乗せた形で描かれ、全体的に小さい。人間は棒人間で記号化され、樹木についても、地面との接点があいまいで根が描かれていない。このことから、子どもたちが家族の内外において、多様な人間関係を学ぶ機会が損なわれているため、豊かな家族や人が描けなくなってきている可能性がある。

論証②→ 非現実的な題材から読み取れる、子どもの関心の変化

また、子どもの情緒的発達が損なわれてきているもう一つの原因として、テレビゲームやアニメ、ネットなどの娯楽普及によって子どもの遊び方の変化してきていることが考えられる。1981年の子どもの絵が、現実的な題材を描いているのに対して、1997年の絵では竜巻や空飛ぶ人間など非現実的なモチーフが多い。このことは、子どもの興味が日常から非日常に移ってきたことを表していると考えられる。すなわち、テレビゲームやアニメ、ネットといった娯楽が増え、子ども同士がテレビゲームを介した遊び方をすることが増えたことが影響している可能性がある。

解決策or結論→ 人との直接的な関わりを多く積むことが重要 

以上のことから、子どもの健全な情緒的発達を促進するためには、幼少期から現実の相手と直接話したり、遊びを通して直接関わったりする体験を多く積むことが重要なのではないかと考える。

解決策or結論の吟味→ 考察を深めるには子どもの背景情報を収集することが必要

しかし、このような描画は、あくまでも子どもの心理特性の一つの側面に関する一つの可能性を表しているにすぎない。そのため、描画における変化の要因を考察するためには、調査や観察などで、子どもの人間関係や家族関係などの背景情報を収集することが必要である。

 

このような描画は、描いた人の性格傾向や心理状態の一側面を反映すると考えられている。ここでは、1981年と1997年の高齢児童の絵画には複数の相違点があり、これを比較することで、子どもの特徴の変化について考察する。

まず目につくのが、1981年の絵が精密な描写であるのに比べて、1997年の絵は、全体的に稚拙な点である。こうした描画の成熟度は、子どもの情緒的発達の程度を反映すると考えられている。このような観点からは、1981年に比べて、1997年の子どもは、情緒的発達が未成熟であるといえる、その原因の一つとして、核家族化が進み、子どもと地域とのつながりが減少していることが挙げられる。たとえば、1981年の絵の家は、紙からはみ出す勢いで大きく描かれているものが散見されるが、1997年の家は、どの絵も一様に四角の上に三角を乗せた形で描かれ、全体的に小さい。人間は棒人間で記号化され、樹木についても、地面との接点があいまいで根が描かれていない。このことから、子どもたちが家族の内外において、多様な人間関係を学ぶ機会が損なわれているため、豊かな家族や人が描けなくなってきている可能性がある。また、子どもの情緒的発達が損なわれてきているもう一つの原因として、テレビゲームやアニメ、ネットなどの娯楽普及によって子どもの遊び方の変化してきていることが考えられる。1981年の子どもの絵が、現実的な題材を描いているのに対して、1997年の絵では竜巻や空飛ぶ人間など非現実的なモチーフが多い。このことは、子どもの興味が日常から非日常に移ってきたことを表していると考えられる。すなわち、テレビゲームやアニメ、ネットといった娯楽が増え、子ども同士がテレビゲームを介した遊び方をすることが増えたことが影響している可能性がある。

以上のことから、子どもの健全な情緒的発達を促進するためには、幼少期から現実の相手と直接話したり、遊びを通して直接関わったりする体験を多く積むことが重要なのではないかと考える。しかし、このような描画は、あくまでも子どもの心理特性の一つの側面に関する一つの可能性を表しているにすぎない。そのため、描画における変化の要因を考察するためには、調査や観察などで、子どもの人間関係や家族関係などの背景情報を収集することが必要である。(933文字)

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