平成三〇年度二日目 北里大学
問一
和らげ慰める―最後までできる医師の仕事
問二
医師が患者を治療することはできなくなる状況で重要なのは、医師の仕事は病を治すだけでなく、患者の苦しみを和らげ、癒すことだという認識を忘れないことである。治療だけが医師の仕事だと勘違いをしていると、このような状況で患者に対して何もできなくなり患者の信用を失ってしまう。和らげ癒すことも仕事であると意識できていれば、治療はできないけれどまだやれることはあると伝えることで共に闘病していけるのだ。(195字)
問三
・議論の整理
私は患者さんのお話を治療の開始時期から継続して傾聴し、患者さんが医療のツークツヴァンクに陥ったときも、それ以前と変わらず接していくことで、患者さんの苦しみを和らげ慰めたいと思う。
・問題発見
「これ以上の積極的治療は望めない」と伝えられることは、自らの死から逃れることができないと宣告されることであり、想像を絶する苦しみと不安があることだろう。病状がこれ以上改善することはないという身体的苦痛に加え、自らの死に直面せざるを得ない状況で感じる精神的苦痛は計り知れないものである。
・論証
患者さんの身体的、精神的苦痛を取り除く緩和ケアは、治療が望めなくなったときに行われる終末期医療だと勘違いされがちであるが、近年の緩和ケアは癌などの病気の治療開始時期に同時に導入され、疾患の治療と同時並行で行われるものである。
・結論、結論の吟味
治療の早期から痛みなどの身体的苦痛を取り除くことは治療に対して患者さんが前向きに臨めることにつながる。病状への不安や家族のお話、死生観など精神的な苦痛について治療開始時からお話を傾聴することは、患者さんとの信頼関係の長期にわたった構築に繋がる。この信頼関係は患者さんの治療が困難となるツークツヴァンクにおいても継続して患者さんの精神的苦痛を和らげ癒すことに寄与するのである。私は緩和ケアの一環として治療早期から患者さんのお話を傾聴することで、その助けになりたいと考える。
(578字)
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