2012年度 順天堂大学
・議論の整理
五歳くらいの男の子が、三歳くらいの女の子の手を引いて森の中を歩いている。彼らの行く先は森が開けていて、明るい日の光がさしている。”The Walk To Paradise Garden”という題名の通り、彼らの向かう先は、彼らにとって楽しく希望に満ちた場所のように思える。しかし、男の子に手を引かれている女の子の足取りは軽やかとは言えず、どこか不安があるようにも見える。
・問題発見
私がこの写真の女の子であったとしたら、男の子に手を引かれているもののこの森の先には進んだことが無いため、男の子に「この先に楽しい場所がある」と言われて興奮しているのと同時に、少し不安を感じずにはいられないのだと思う。それでも自分より年長の男の子が楽しいというのだから、自分の知らない楽しいことが森の中にはあるのかもしれないと思い、勇気を出して歩いているに違いない。この森の先には、私が小学生のときによく遊んだような、子供だけが知っている森の中の秘密基地があるのだろう。子供たちは木に登り、虫を採り、せせらぎに足を浸し、好奇心の赴くままに大人に邪魔されることなく遊ぶのである。
・論証
子供の頃は、大人になった今とは比べ物にならないくらい「楽しいこと」に対して貪欲だった。冒険心を、好奇心を満たすためにはどこまでも進めるような気がしていた。自分よりも楽しいことを知っている年長者は格好良く見え、彼らに憧れては後について歩き、楽しいことがあると言われれば飛びつかずにはいられない。それでも幼いために、大人に制限されることも多い。制限への反発から、早く大人になりたいと思うことも多かった。
・結論、結論の吟味
しかし、大人になった今から当時を振り返ると、新しいものに挑むことへの不安よりも大きく優っていたあの好奇心、冒険心は大変貴重であったことがわかり、自分の子供時代が眩しく見える。だから私たちはこの写真に心動かされるのかもしれない。(760字)
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