- 議論の整理
世界のスポーツ産業の市場規模が拡大している一方で、わが国における市場規模は縮小傾向にある。このような事態を踏まえ、政府の「日本再興戦略2016」では2025年までにスポーツ市場規模を15兆円にまで成長させることを掲げている。これを達成する為には、産業を支えるスポーツ組織の正しい経営管理を行うことが重要であり、スポーツマネジメント学研究の意義は大きい。この学問領域でしばしば持ち上げられる問題として、一般経営学と比較した際にこの領域の特殊性を特徴づける部分は何かということがある。
- 問題発見
ファイナンスの観点からは、選手の移籍金やネーミングライツなどの要素が例として挙げられるが、このようなスポーツ固有のファイナンスに着目して検討を行うことでスポーツ組織の財務構造や収益構造についてより精密なモデルを構築できるのではないだろうか。
- 論証
ここでは、日本において未だ成功例として確立されたモデルがないネーミングライツについての検討を行いたい。永田(2011)は日本の命名権の相場の低さを指摘し、その理由として命名権成約企業を中心としたステークホルダーに対してビジネス上のメリットを明確に提供できていないという問題を挙げている。そこで、本研究では日本に先んじて命名権による収益構造を構築したアメリカでの事例を参照しつつ、命名権のメリットを最大化する為のモデルについて検討したい。
- 結論
東京オリンピックを控え、国民のスポーツ産業に対する潜在的需要は高まっていると考えられる。本研究は、この状況を活かして市場規模の拡大を達成するための理論的根拠を提供するものだと考えている。
- 結論の吟味
上記研究を行うにあたって、スポーツ経営学の研究領域において特に実践的な、スポーツ組織の経営戦略について多くの研究を重ねている武藤教授のもとで学ぶことを強く希望する。
参考文献
永田靖 (2011)「スポーツファイナンス概念の考察(Ⅰ)-スポーツ組織の事例検証―」『広島経済大学経済研究論集』34(2), 29-40
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