- 議論の整理
スポーツプロダクトを生産、提供する為のビジネスの管理を目的とするスポーツマネジメント学は、スポーツ産業の拡大に伴いその研究領域も多様化、細分化してきた。一方で、既存の研究の中には一般経営学の応用例として位置づけられているスポーツマネジメント学としての特異性を持たないものもあり、松岡教授は「スポーツ」という言葉が指す事象の定義を明確にしたうえでの研究領域の定義を明確にする必要性を唱えた。その上で、この領域における「スポーツ」とは試合やイベントなどのスポーツ活動そのものを指すとの定義づけを行った。
- 問題発見
ビジネスの現場におけるサービス財としてスポーツプロダクトを捉えたとき、その顕著な予測不可能性が特性として挙げられる。消費者が得られるベネフィットを提供する側も明確に把握できないことはスポーツマネジメントを困難にする要因の一つであり、この学問領域の固有性に繋がる点でもある為、この点において研究を行うことには意義がある。それではスポーツ活動、ここでは「みるスポーツ」について、その価値をどのように捉えればよいだろうか。
- 論証
松岡教授の先行研究では、「みるスポーツ」の社会的な価値に着目して、地域社会におけるスポーツプロダクト消費者の心理的側面の変化を継続的に調査することでそのポジティブな影響を明らかにしている。この例にならって、心理的側面に与えるベネフィットについて、各地域社会における差を比較した横断的な研究と、各年代間での相違を比較した縦断的な研究を行いたいと考えている。
- 結論
スポーツ産業が急速に発展しつつある昨今、そのプロダクトの受け手の属性も多様化しているといえる。しかしながら、スポーツ活動自体には消費者の誰しもが求める普遍的価値が存在するはずであり、その価値を明らかにすることは、これからのスポーツビジネスの方向性を予測する一助となるはずである。
- 結論の吟味
上記研究を行うにあたって、日本のスポーツマネジメント学研究の第一線で活躍し、数多くの論文を執筆している松岡教授のもとで学ぶことを強く希望する。
参考文献
松岡宏高 (2010) 「スポーツマネジメントの概念の再検討」『スポーツマネジメント研究』 2(1), 33-45
コメントを残す