- 議論の整理
東京オリンピックを控えた昨今、日本におけるスポーツイベントの潜在的需要は増していると考えられる。それに伴い、行動科学の観点から効果的なイベントのプロモーション方法を探る研究が求められている。このような身体活動促進戦略の重要課題の一つに、運動無関心者をどのようにして参入させるかという問題がある。身体活動のトロント憲章は、健康、環境、経済の3点に対する利益を強調しているが、これらは身体活動の動機付けの為のメリットとして近年の研究で注目されているものである。
- 問題発見
当該研究領域において中村教授は、ウォーキング行動を対象として、その促進に効果的な恩恵チャネルの探索を行った。その結果、健康という恩恵には反応しない人々に対する新たなチャネルとして余暇活動やEFAが利用できる可能性を報告している。それでは、このような動機付けの効果は長期的な視点からはどのように分析できるだろうか。
- 論証
長期的な行動の変化を研究するにあたって行動変容ステージモデルを参考にしたい。モデルに従えば、対象となる人々は実行期と維持期の間にあると考えられる。この段階への働きかけには、行動置換、援助関係の構築、強化マネジメント、刺激の統制があるが、私は余暇活動やEFAのもつ要素をこの4属性に分類し、行動変容におけるそれぞれの属性の重要度を回帰分析によって定量的に記述したい。
- 結論
この研究により、より効果的なスポーツ振興活動の指針を提示できるものと考えている。また、研究を遂行するうえで運動生理学や栄養学、体力科学などのスポーツ科学に関する広範かつ正確な知識を有さなければならないが、この学ぶべきことの豊富さにやりがいを感じている。
- 結論の吟味
上記研究を行うにあたって、日本における健康スポーツマネジメント研究の第一線で活躍している中村教授のもとで学ぶことを強く希望する。
参考文献
中村好男、荒木邦子. (2014)「身体活動基準・指針の普及・認知の現状と期待」『臨床スポーツ医学』 31(1), 68-72
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