- 議論の整理・・・
EUへの残留か脱退かが問われた2016年6月のイギリス国民投票で、脱退賛成が僅差で多数を占めたのち、保守党のメイ党首は「脱退は脱退(Brexit means Brexit)」と公約し、新たに脱退大臣を設けた。そして、2019年12月の総選挙で、保守党が過半数の議席を獲得するに至った。
その背景には、移民の純増減数は、2012年頃から2016年頃まで右肩上がりで増加しているなど、1990年代以降進んできたグローバリゼーションの限界と、欧州連合が進む中での英国の主権喪失に対する危機感の高まりがあるとされる。
- 問題発見・・・
では、イギリスのEU脱退(Brexit)について、どのような思想に基づいて、どのような議論が行われているのだろうか。また、EUの基本理念や国民投票について法的視点から分析すると、イギリスのEU脱退にはどのような意義や影響があるのだろうか。
- 論証・・・
私は、これらの問いに答えるには、欧州諸国についての正確かつ緻密な歴史的発展過程の理解を前提として、現在の政治情勢を理解しようと努めることが重要だと考える。さらに、国際関係について理解したうえで、政治的視点のみならず、法的視点からも、研究することも重要だろう。例えば、現実政治の動向には距離を置き、法的視点から、イギリスがEU脱退を決め、その意思をEUに通知するまでの手続とその過程で生じるイギリス法及びEU法の重要問題について考察する研究[1]があり、EU基本条約やEU法制度の全体構造との関係を把握することができる。
- 結論・・・
そこで、マクロ地域統合法理論などを専門に研究し、EU法、イギリス憲法・行政法などのイギリス法の専門家として名高い貴学法学部の中村民雄教授に師事し、上述の問題点を整理するべくEU法やイギリス法について研究を深めたいと考えている。
貴学法学部の中村民雄研究会が上述の研究を進めるのに最適な研究環境との確信のもと、貴学法学部に入学し中村民雄研究会に入会することを強く希望する。
[1] 中村民雄「イギリスのEU脱退(Brexit)の法的諸問題:脱退決定から通知まで」比較法学50巻3号(2017年)1-39頁。
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