- 議論の整理・・・
日本の刑法は、ドイツ刑法を中心として様々な国の刑法から影響を受けて成り立っている。具体的には、明治期以降にドイツやフランスから刑法理論を導入したが、戦後になると、日本国憲法制定の関係によってアメリカ刑法の影響も大きく受けることとなった。その結果、日本の刑法は、その理念についてはフランス刑法に求め、刑事実体法の論理と形式については主にドイツ刑法の理論的影響を受けつつ、実践としての刑事手続法についてはアメリカ刑法の影響を強く受けることとなった。
- 問題発見・・・
では、日本刑法学のこうした歴史の根底には、どのような法哲学があるのだろうか。また、日本と同様にドイツ理論刑法学の強い影響のもとで成立している諸外国の刑法学と比較すると、どのような特徴があるのだろうか。
- 論証・・・
私は、これらの問いに答えるには、日本の刑法に関する正確かつ緻密な歴史的発展過程の理解を前提として、ドイツ法、フランス法、英米法のみならず、スウェーデンやデンマークなどの北欧の刑法学の歴史を整理することも重要だろうと考える。北欧の刑法学は日本では馴染みが薄いが、日本の刑法学が学ぶべきことは多いだろう。例えば、スウェーデンでは日本と同様の問題意識に基づいた議論がかなりされていることを確認し、日本の刑法学がスウェーデン刑法学から多くを学ぶ前提は整っていると指摘する研究[1]があり、スウェーデンにおける議論状況を把握することができる。
- 結論・・・
そこで、統一的正犯概念と共犯理論、量刑における均衡原理、市民の刑事裁判参加などを専門に研究し、刑法の専門家として名高い貴学法学部の松澤伸教授に師事し、上述の問題点を整理するべく望ましい刑事法政策について研究を深めたいと考えている。
貴学法学部の松澤伸研究会が上述の研究を進めるのに最適な研究環境との確信のもと、貴学法学部に入学し松澤伸研究会に入会することを強く希望する。
[1] 松澤伸「スウェーデン理論刑法学の一素描」早稲田法学94巻1号(2018年)1-24頁。
コメントを残す