- 議論の整理・・・
家族法は、夫婦・親子・相続など家族関係を規律する法律であり、民法の親族法(第4編)と相続法(第5編)を合わせた概念である。日本国憲法のもとでは、個人の尊厳と両性の本質的平等が原則とされ、夫婦同権などが認められるに至った。
しかし、家族やそれを取り巻く社会状況は変化し、生殖補助医療やDNA鑑定などの技術の発達により、家族法上の新たな問題が生じている。例えば、女性の社会進出に伴い、働く女性の側から、婚姻による改氏が職業上不利益を被るとして、選択的夫婦別氏制度などについて議論されている。
- 問題発見・・・
では、家族に関する法制度にはどのような歴史があり、その根底にはどのような思想や哲学があるのだろうか。また、家族に関する法制度について、日本と諸外国とを比較すると、どのような違いがあるのだろうか。
- 論証・・・
私は、これらの問いに答えるには、日本の家族法に関する正確かつ緻密な歴史的発展過程の理解を前提として、ヨーロッパやアメリカなど諸外国の家族法政策の歴史を整理することも重要だろう。例えば、日本の親権法は、基本的な家制度的な府県的支配権的な法構造のままで、子の福祉や子の利益を中心とする法制度として再構成や改革がなされていないとして、親権・監護をめぐる裁判例と問題状況及び再構成と改正への課題について検討を行う研究があり、2011年5月27日に行われた親権規定改正以前の議論状況を把握することができる[1]。
- 結論・・・
そこで、子どもと法、家事調停制度論、人工生殖と家族法などを専門に研究し、民法、家族法、宗教団体法、家事事件処理手続法の専門家として名高い貴学法学部の棚村政行教授に師事し、上述の問題点を整理するべく家族に関する望ましい法政策について研究を深めたいと考えている。
貴学法学部の棚村政行研究会が上述の研究を進めるのに最適な研究環境との確信のもと、貴学法学部に入学し棚村政行研究会に入会することを強く希望する。
[1] 棚村政行「親権法の改正をめぐって」Law and practice2号(2008年)145-181頁。
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