■議論の整理論
2019年の大学進学率は日本全体で54.82%だった(文部科学省「令和元年度学校基本調査」より)。教育基本法は、第八十三条一項で「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」と定め、第二項には「大学は、その目的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。」と、大学が社会に対して学術研究の結果を還元することの必要性が書かれている。
■問題発見
しかし現在、講義で中学英語や中学数学の内容を扱う「Fラン大学」が問題になっている。そのような内容の講義が教育基本法の定める「深く専門の学芸を教授研究」に当て嵌まらないことは明らかである。講義のレベルが相応の大学であっても、就職活動に大学3年生以降の貴重な研究時間を割かなくてはいけない人も多いと聞く。この状態が本来の大学のあるべき姿なのか、大いに疑問である。
■論証
政府は、2020年4月から大学無償化を始めることを発表した。世帯収入の問題で大学進学を希望していても行けなかった人たちに進学できる機会が与えられることは素晴らしいが、この動きが“就職するためにとりあえず大学に行く”ような学術研究を目的としない進学を増やすことにならないか危惧される。ドイツなど欧州の大学では、学費がかからない代わりに進学するためのハードルが高い。無償化がされていても、誰でも行ける状態にはなっていないのである。今の日本の大学入試のあり方と大学のあり方を保持したままに大学無償化を行うことが「社会の発展に寄与する」ことに繋がるのか、慎重な議論が必要だと考える。
■結論
多角的な視点から大学を分析するとともに海外との比較を行うことで、今の時代に社会から求められる大学のあり方と、そもそもの大学のあるべき姿の双方について考えを深めていきたい。
■結論の吟味
以上の理由から、貴学教育学部に入学し、吉田文教授の研究会に入会することを強く希望する。
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