早稲田大学 教育学部 外国学生入試 志望理由書 提出例(熊谷善彰ゼミ向け)

■議論の整理

防災への意識が高まっている。東日本大震災をきっかけに、いつ地震や津波が来てもよいように、防災グッズが各家庭で準備されるなど、市民レベルにおいても防災への意識は以前よりは高まった。天災だけではなく、原子力発電所と言う人為的なものの恐ろしさも引き起こしたこの災害は、企業に対しても同時に防災意識を高めることになった。

 

■問題発見

一方で、企業が防災に対して投資をどのように行うべきかについてはいまだに理論的素地が薄い。企業は災害時にできるだけ被害を最小化し、すぐに業務を復旧できるように防災に対して事前に投資することが賢明だが、一方でどこまで投資をするかに関しての判断は難しいところだろう。

 

■論証

防災投資に対して、企業のリスクマネジメントの一環として防災投資の重要性が認知されるものの、どの程度のリスクがあるか、起こるかは確定することはできず、それに見合うどのような投資を、いくらするかを完投することは難しい。企業はコストに対し、その後のキャッシュフローが正の関係にならなければ利益をあげる経済主体として防災投資をすることは難しく、それが資本主義の経済原理として適切だともいえる。

 

■結論

ある研究によれば、一般に企業の投資判断において将来のキャッシュフローを割り引いた値から投資にかかる費用を差し引いた価値が、プラスになる場合しかこの防災投資は実行されず、企業の資本コストが企業ごとに異なるため、同一の損害額でも企業ごとに投資額が異なることは必須で、むしろ資本コストの高い、収益リスクの高い企業ほど防災投資に書ける費用は小さくなってしまうことを理論的に数値化している※1。

 

■結論の吟味

上記の理屈は利益を上げなければいけない経済主体として非常に賢明な判断であり、仕方がない側面もある。これらの側面を補うために公的な支援がどれほど必要かが初めて議論されるべきで、各地方公共団体は、これらの観点を含めて防災費との関係性を検討していくべきだ。以上のような観点で、防災と経済についてのよりよい関係を考察してみたいと考え、貴学への入学を希望する。

 

※1熊谷善彰・藤原浩一「民間企業の防災投資における投資判断と資本コスト」『早稲田大学教育・総合科学学術院 学術研究(人文科学・社会科学編)』64 2016

 

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