■議論の整理
セクシュアル・マイノリティ問題に対して、教育はどのように貢献できるだろうか。制をめぐる言説が活発になってきた今、いわゆるLGBTに対する尊厳を守るには教育はどのような方法をとることができるか。現代教育における重要な課題の一つになっている。
■問題発見
少なくても人口の3~10%はセクシュアル・マイノリティがいると統計では言われており、私たちの身近にもセクシュアル・マイノリティは現に存在している。ではその存在が可視化されないのはなぜか。それは社会が言いづらい雰囲気を作っていたり、当事者がカミングアウトできない風潮があるからだ。性教育と呼ばれるジャンルの教育では授業の10%ほどしかこの問題に時間を割かないとの報告もある。
■論証
考えてみれば、世の中に流布している物語は、王子様がお姫様を助けに行く物語であふれている。小さいころから絵本で読み聞かせられる話は、既定のヘテロセクシュアルなストーリーラインを固持しているし、そこに男性主義的なエッセンスが加わった作品も多い。これはあくまでも物語であり、虚構だという反論もあるかもしれないが、物語は自己形成において根強い効果を発揮することも有るだろう。私たちはその物語たちによって、社会的にどのような物語が当たり前で正しいかを訓育されているともいえる。
■結論
以上のようなセクシュアル・マイノリティをめぐる問題を大学の現場で考え、教育していこうとする取り組みが一部で行われている※1。その授業では、当事者を呼び、身近に存在しているマイノリティの生きづらさを知っていくことで、(1)自身の周囲にセクシュアル・マイノリティがいること、(2)セクシュアル・マイノリティについて知っておくべき知識、(3)カミングアウトされたときの対応、(4)専門的な知識がなくても悩みの相談相手になる方法、(5)個々の教師ができる取り組み、について考察していこうとする実践的な取り組みだ。
■結論の吟味
上記の取り組みによって、新しいLGBTへの教育のカギになることは確かだ。LGBTという言葉自体が、ある種の内面化を促している側面があるとはいえるものの、いずれその言葉自体がなくなることを願って、今はその言葉を強化することになろうとも、上記のような教育方法の改革に携わりたいと考え、貴学への入学を希望する。
※1金井景子「セクシュアル・マイノリティ問題に関する教師の「当事者性」と「聴く力」――DVD『先生にできること――LGBTの教え子と向きあうために』制作を手がかりにして――」『ジェンダー研究21』2 2013
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