議論の整理・・・
ものを書いて生きていきたいと考える人間にとって、何をどう書くか、というのが最初にして最大の悩みだと述べることができるだろう。
問題発見・・・
小説家として、人に読んでもらうことを目的とした作品を執筆する以上、ただただ自分の創造世界に閉じこもって、自分が書きたいもののみを書き連ねるだけでは、息の長い小説家にはなれないのではないだろうかと私は考えている。世の人々が興味を持つような普遍的なテーマを扱い、今の時代を生きる人々が抱える悩みに寄り添い、現代の人々が何となく感じていることを言葉で表現することで共感を得、あるいは意表をついた問いを提示することで既成概念を揺さぶる。そのように読者の存在を意識した小説こそが、時代に受け入れられるものとなるのではないだろうか。
論証・・・
自分の執筆テーマを探る過程で、上記の仮説を検証していくことを考えている。まず、古今東西の古典文学を学び、様々な論文を読むことで、時代に耐えてきた名著たる由縁を研究する。偉大な先駆者の作品を、どう読み解くべきなのかを学びたい。
さらに、現代の読者について理解を深めようと思う。心理学や社会文化学、政治学の面などから時代に求められるテーマを探していく。
そして、創作活動について、学術的な学びを得ながら取り組んでいきたい。小説家の執筆スタイルは十人十色であることが予想されるが、多くの事例を比較する中で、科学的に効率の良いスタイルや表現方法が見つかれば面白いと思う。現代の創作活動はそれぞれの個人プレーであることからブラックボックスになっている部分が多いが、知の共有をして体系的にまとめることができれば、将来的により良い作品が生み出される助けにもなるだろう。
結論・・・
以上の研究を、教養と緻密な文章表現によって静かに心を揺り動かす文章を書く、と定評がある堀江敏幸教授のもとで取り組みたい。
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