早稲田大学 文学部 AO入試 志望理由書 提出例(藤野京子ゼミ向け)

■議論の整理

犯罪心理学は犯罪主体を様々な因子で解明し、今後の対策を練ることができる有意義な学問分野だ。犯罪の中には、財産権の侵害(財産犯)があるが、その傾向は女性に強く、かつ高齢者に多い。このことから社会構造上のどのような問題点が浮き上がるだろうか。

 

■問題発見

女性財産犯のセルフヒストリー分析※1を見ると、そこには構造上の問題がぬぐい切れない。財産犯が犯罪を行ってしまう背景には、自主性や統合性といった、自分で考え、責任を引きうける能力が低いことがあげられるが、その能力は人々が自由で主体的な活動ができる場合に育成される。それが男性に比べて、女性のほうが達成されないのはなぜなのか。

 

■論証

女性は家族に束縛される存在だ。昔ほどは緩和されているが、今なおジェンダーに縛られていることは理解しやすい。女性がキャリアを積んでも、結婚を機にやはり仕事をやめてしまう。そのとき女性の存在価値は、生殖能力に限定され、よい家族を再生産すること、もしくはよい妻を演じることに依拠してしまう。女性の高齢者の財産犯が多い※2のもそのためだと考えられる。よい母親としての責務を終え、よい妻でいることからも解放されたとき、自己効用感を持てないのが高齢の女性なのだ。

 

■結論

女性はいまだに周辺的な存在になりがちであり、そこからの脱却を図ることが犯罪の未然防止につながると私は考えている。犯罪心理学の分野で彼女たちの心理を客観的に叙述分析し、その心理がどのように社会によって醸成されてしまったのか、もしくは別の要因があるのかを考察していきたい。

 

■結論の吟味

女性が以前と現代でどのように犯罪傾向は変わりつつあるのか、犯罪心理学的な観点から考察し、精神医学的な成果も十分に注視しながら見ていきたい。またそのうえで、安倍政権が掲げる「女性の活躍」が果たして、犯罪の未然防止にまで射程をもっているのかを批判的に検討し、今後の犯罪心理学及び社会構造の発展に寄与すべく、貴学に入学して学習したいと考え、強く入学を希望する。

 

※1藤野京子「女性財産犯の人生の語りの分析」『早稲田大学大学院文学研究科紀要』63 2018

※2藤野京子「女性高齢財産犯の実情」『早稲田大学大学院文学研究科紀要』第一分冊61 2015

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