早稲田大学 文学部 AO入試 志望理由書 提出例(竹村和久ゼミ向け)

■議論の整理

経済が消費行動を対象にしてから長い年月が経った。贈与の社会をもとにする自然経済ではなく、貨幣を媒介にした消費行動は、市場を広範囲に広げ、後期近代を特徴づける資本主義の活動は常に差異を生み出す記号の戯れの中で、マーケティング理論を生み出した。人々はものを消費しているのではなく、記号を消費している。

 

■問題発見

今のトレンドは何か、どのようなニーズがあるかを統計学的に分析するのがマーケティング理論だが、一方で人々が何を欲するか、どのような仕掛けがあればものを買うのだろうか。

 

■論証

古典的な心理学はパブロフの犬の事例のように、行為の結果のあとにある刺激を与え続けると、特定の行動を引き起こすオペラント条件付けを発見した。これらを経済学に応用するならば、人間の行動が、効用理論のような規範的理論に従わない現象やその理由を検討し、経済活動と結びつく様子が分析される※1。

 

■結論

私たちは社会制度の中でさまざまな役割を与えられ、階層に否応なく分けられる。それは母親であるかもしれないし、単身赴任の父親であるかもしれない。彼らは、自分でものを欲しているかに見えて、ある種の条件刺激をもとに、消費行動をしているかもしれない。これが行動経済学の領域で研究されていることだ。心理学と経済学が接近した領域である行動経済学には、資本主義が成熟した今だからこそ、私たちの消費活動を子細に分析する重要な手法になるだろう。

 

■結論の吟味

経済は抽象化された労働力を売り買いし、労働力を労働者から切り離した。マルクスはこの命がけの飛躍を経た資本主義の欺瞞を暴き出したわけだが、今消費者は、メディア、そのほかもろもろの社会制度によって、すべからく疎外されているかもしれない。消費社会の中の人間性、消費行動の中の主体性を行動経済学の観点から分析してみたいと考え、器楽への入学を希望する。

 

※1竹村和久・村上始「心理学と行動経済学――古典的心理学と確率荷重関数の関係を中心に」『行動経済学』12 2019 行動経済学会

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