早稲田大学 文学部 AO入試 志望理由書 提出例(森原隆ゼミ向け)

■議論の整理

1770年代のフランス王権時代に、改革が進められた新聞「ガゼット」に焦点を当てた研究によれば、国内の権力が世論を統制したり、検閲したりする政策が根強い中で、いかに読者と国家的施策をつなぐことができるかを模索した「ガゼット」が失敗していく様を描いている※1。

 

■問題発見

「ガゼット」は、外務省の後援を受けて改革が進められ、臨時ニュースや読者欄を設けるなど、王権にとって公法的な役割も民主的な役割をうまく果たそうとしたが、うまくいかなかった。その理由についてはさらなる研究が俟たれるが、メディアが民主的な性格とある種の国民国家的な性格を帯びていく過渡期的な新聞として位置づけられるだろう。ではそもそも新聞はどのような役割を果たすものなのだろうか。

 

■論証

ベンディクト・アンダーソンの『想像の共同体』によれば、国民国家を定義づける国民のメンバーシップは、あくまでも想像によって捏造されたものだという。私たちはこの国家を代表する国民だ、と人々が想像できることが国民を規定する。その際に必要になるものは、共通語であり、それを流布するための新聞・活版印刷だったと述べている。

 

■結論

『ガゼット』も同様の文脈に位置づけることができるが、一方で失敗したその『ガゼット』には、さらなる国民国家創造=想像の秘密が隠されていると考えることができないだろうか。単に新聞を作っているだけではいけないこと。権力側の声を書き、民衆の声を書くだけではいけないこと。そこには、メディアが果たすべき第三の役割が隠されているような気がしてならない。

 

■結論の吟味

従来のメディアスタディーズによれば、カルチュラルスタディーズの影響も相まって、権力によって社会構築主義的に作られたものに対する批判を暴く手法が多かった。この場合、マスコミュニケーションである主体としての新聞社を論難することが目指されたが、それだけではない別の力を追求することが可能になる。新しいメディアスタディーズを構築してみたいと考え、器楽への入学を希望する。

 

※1森原隆「一七七〇年代フランス・モープー期の『ガゼット』改革をめぐって」『金沢大学文学部論集 史学・考古学・地理編』18 1998

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