早稲田大学 文学部 AO入試 志望理由書 提出例(村田晶子ゼミ向け)

■議論の整理

ジェンダーに対する意識が敏感になって久しい。1980年代に起こった第二波フェミニズムの潮流を受けて起こったウーマンリブ運動を経て、政治の分野でも個人生活の分野でもジェンダーに対する感覚は少しずつ根付いてきているだろう。今や小学校では男女混合名簿は当たり前になりつつある。

 

■問題発見

東大の入学式のスピーチで日本のフェミニズム研究の第一人者である上野千鶴子は、大学教育におけるジェンダー構造を露骨に表現した。医学部に、男性入学性のほうが多いことは、ジェンダー以外で説明はできない。あなたたちはその中にこれから巻き込まれることになる。研究の歩みをとめてはいけないと。それでは、男女の二文法に収まらないクィアな人々、LGBTに対して大学教育は何を提出することができるだろうか。

 

■論証

大学はダイバーシティ教育の推進をうたってから日がたつが、ジェンダー教育よりはLGBTに対する支援は少ないだろう。たとえば女性の悩みを受け付ける施設は設置されているが、LGBTの生徒の悩みを設置されている施設は少ない※1。異性愛体制の中で語られる差別構造に対する過敏さはジェンダー研究で扱うことができるが、同性愛体制や複雑な意識に対応する支援はまだまだ乏しいということができる。

 

■結論

ジェンダー研究だけでは対応できないこれらの課題に対して、知の先端である大学教育は、クイア研究という学問領域の推進と同時に、支援センターの役割を果たすことが、有名有実な活動を行うことができるだろう。学問領域として提出することができても、その場所が確保されていなければそれはダイバーシティ教育を推進する場所にはならないだろう。

 

■結論の吟味

文学研究や文化研究の領域で、LGBTの問題を議論し提案することはもちろんだ。しかし主体としてアンガージュマンできる、実存的な施設としての大学という側面を今一度考えた研究機関の設置が必須であると私は考える。以上のような学問と機関の橋渡しがいかにして可能かについて考察してみたいと考え、貴学への入学を希望する。

 

※1村田晶子「大学におけるセクシュアルマイノリティ学生への対応をめぐる課題についての考察」『早稲田教育学研究』6 2014

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