早稲田大学 文学部 AO入試 志望理由書 提出例(細金恒男ゼミ向け)

■議論の整理

3.11からもうすぐ8年が経とうとしている。東日本大震災による、福島第一原発の事故を伴った、天災とも人災ともつかないあの事故から、地元は少しずつ復活しつつある。福島での教育はどのような歩みをたどったのだろうか。

 

■問題発見

教育に限らず、多くの生活者は、仮設住宅への転居を強いられ、地元を離れることを余儀なくされた。中には、帰れるようになった後も、そのまま新しい場所での生活を続けている人もいる。帰ろうにも帰るべき家を持たない家族は多数存在しているし、精神的にもトラウマを与えられてしまった人々は、その場所を故郷だと認定することができないままだ。そんなときに教育はどうあるべきだろうか。

 

■論証

教育の一つに、地域との連携教育というものがある。たとえば、地域にもっと人材を呼ぶにはどうしたらよいかを総合的な学習の時間で探究する活動が盛り込まれる。私たちは、そのような活動を通して、課題解決能力を育成すると同時に、故郷愛とよばれうものを一緒に育むのだ。

 

■結論

私たちは土地に生きている。土地に根付いていない人間はおそらくいないだろう。原風景は誰にでも存在し、それが自然あふれるものであるかどうかには関係なく、固有名詞としての場所に私たちは根づいて生きて行く。福島第一原発事故によって、教育は一つの故郷を失ってしまった。仮設住宅付近の小学校に通う生徒にとって、その学校は公式や単語を覚えるだけの場所であり、においを持たない空間になってしまう※1。

 

■結論の吟味

教育には、私は故郷の原風景を育む、一種の郷土心が必要だと考えている。現在、新型コロナウィルスで学校は休校になり、仕事もテレワークが推奨されている。そこで叫ばれている学習は、一種の遠隔授業を通じた公式の学習だ。もちろんそのような学習も大事だが、自分が地域に根付いて学習を行っているという地域との連携を踏まえた学習をすることが、その地域を守ろうとする公共心を育むことにもつながるだろうと私は考える。以上のような郷土愛と学習についての研究をしてみたいと考え、貴学への入学を希望する。

 

※1細金恒男「大震災と地域・学校――福島の現実から――」『早稲田教育学研究』早稲田大学文学学術院教育学会 2011

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