2019年 上智大学推薦入学試験(公募制) 文学部・新聞学科 小論文 解答例

議論の整理

免疫とは、私たちの体を細菌やウイルスから守るシステムのことである。免疫をつけることは現代の日本人の大きな関心ごとのひとつである。免疫をつけることで、体の健康を維持できるのみならず、病気の予防や回復につながることもある。そのため日ごろから、新聞、テレビ、雑誌などで、免疫機能を高める方法などの特集テーマに遭遇することが多々ある。その特集が話題になると、特定の商品や食材が一気に売れるなど、経済効果がもたらされることもある。しかしながら、読者や視聴者の反応を意識しすぎて、内容が行き過ぎてしまうこともある。

問題発見

ジャーナリズムに携わるものは、免疫にかかわる話題を扱うとき、どのような姿勢を持つことが必要なのか。

論証

新型コロナウィルスの感染が拡大するなか、免疫力を高めることに対する関心が高まっている。そのため、特集記事を組んだり、特集番組を放送したりするとき、食生活などから免疫力を高める方法について取り扱われることが増えてきた。

これらの特集は、野菜を食べる、青魚を食べる、発酵食品を食べる、緑茶を飲むなど、新型コロナウィルスの感染拡大とは関係なく、以前から言われている内容が多い。いわゆる健康番組に近いものである。しかしながら、新型コロナウィルスに打ち勝つ免疫力をつけるという切り口ゆえ、これらが感染の防止につながると勘違いされてしまうことも多い。

結論

免疫機能を高める方法は昔から続く普遍的なテーマである。より多くの人の興味を惹きつけるために、そのとき起こっている出来事と結びつけることで、真実が歪められてしまうことがある。場合によっては、人々を間違った方向に導いてしまうことを、ジャーナリズムにたずさわるものは念頭に置いておかなければならない。

吟味

そこで、どのように普遍的なテーマとその時期に特有のテーマを区別できるのか、どのように人々の興味を惹きつけながら事実を伝えられるのか、考えていきたいと思った。(808文字)

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