2019年 上智大学推薦入学試験(公募制) 文学部・ドイツ文学科 小論文 解答例

議論の整理

この文章によると、ひとつのものに対する解釈は、育った文化により異なることがある。例によると、太陽の色は国により赤だったり黄だったりする。太陽という言葉そのものは、日本語でも英語でもフランス語でも共有できる。しかし、文化的な前提を理解していないと、見えているものがまったく異なってしまう。つまり、外国語の文献を読むときも、翻訳された言葉だけではなく、その根底にある文化の違いを理解する必要がある。

問題発見

文学、哲学、社会学などの人文社会科学は、原書で読むこともできるが、優れた翻訳があることもある。その場合、外国語の習得に力を入れるべきか、翻訳を使って文化的な前提の理解に力を入れるべきであろうか。

論証

海外の研究者によって書かれた人文社会科学に関係する文章を読むとき、私たちは外国語能力を高めることに関心が向かいがちである。確かに、原書が読めることで、その文章を正しく理解できる可能性が高まる。しかしながら、外国の言語を理解することに気をとられていると、記号を解読するだけになってしまい、その文章の背後にある文化的な前提や歴史的な背景を理解するまでには至らない。

そこで、最初から原書を読む選択肢を捨てて、翻訳から文化的な前提や歴史的な背景を読み解くことに専念したらどうであろうか。自ら記号を解読して、翻訳する作業がスキップできるため、文化や歴史を学ぶ時間を設けやすくなるだろう。ただし、外国語が適切に翻訳されいているとは限らず、原書の文章の雰囲気やリズムを感じることはできない。

結論

外国の文章を読むとき、原書であろうと翻訳であろうと、言葉を理解することに気をとられると、そこに書かれていない「行間」を理解しそこねてしまう。そこで、文化や歴史の知識を学ぶとともに、文章そのものの雰囲気やリズムの感覚も備えることが大切である。

吟味

すべての外国語を学ぶことは不可能である。そのため翻訳を正しく読む力を備えることも大切になってくるだろう。(819文字)

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