上智大学 法学部 国際関係法学科 公募制推薦入試 2017年 小論文 解答例

設問

以下は2016年4月20日『朝日新聞』夕刊3面に掲載された藤原帰一氏による「現代の国際関係抑止戦略の限界に直面」という論説です。その課題文を読み、抑止戦略の有効性と限界について、現代世界に発生している(または発生した)具体的事例を挙げながら自分の考えを述べてください。(800字)

議論の整理→抑止力戦略の有効性と限界

抑止力戦略とは「軍事力によって相手の行動を事前に抑え込む」ことであり、武力放棄のような平和的手段でないことは明らかである。本文によると、現代世界では抑止戦略が正当かいなかではなく、限界があることが問題であると論じられている。

問題発見→抑止戦略の限界を示す具体例はなにか?

では具体的には、どのような事例があるだろうか。

論証→北朝鮮の核実験

国際社会の度重なる警告にもかかわらず、北朝鮮は繰り返し核実験やミサイル実験を行ってきた。これまで、北朝鮮は核実験やミサイル発射などは、他国と交渉するためのカードとして利用していた。韓国と中国に囲まれた地理のため、北朝鮮は中国と良好な関係を築きつつ、折に触れて韓国やアメリカに威嚇行為を行ってきた。それに対して韓国やアメリカは、外交ルートからの反論や軍事演習などで対応してきた。いわば、北朝鮮は核兵器の存在を抑止力として利用していたといえる。韓国やアメリカもそれに応じて戦力をアピールすることで、相互に武力が抑止力として有効だったといえるだろう。しかし2016年に行われた核実験およびミサイル実験は、国防副委員長や人民武力相が粛清されたあとに行われた。このことから今回の核実験は、アメリカと交渉をするための外交カードではなかったと推測することができる。もはやこれまでのような戦力では、北朝鮮の攻撃的な行動を抑止することは難しくなってしまった。つまり、アメリカの北朝鮮への抑止戦略が限界を迎えているのである。

解決策or結論→抑止戦略の限界

抑止戦略が限界を迎えたという事実は恐ろしい。しかし他方で、米ソの冷戦以降、戦力による抑止には限界があることがわかっていた。

解決策or結論の吟味→結論を吟味する

インターネットの普及により、全世界が文字通り繋がっている今こそ、旧来の武力による抑止戦略ではなく、対話を重ねることで相手を信頼する努力を真剣に進めるべきであると強く考える。(731字)

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