設問
次の文をふまえ、「学びがい」についてあなたの考えを800字以内で述べなさい。
議論の整理→「学びがい」は希望である
「学びがい」とは、学ぶことへの漠然とした希望を表している。「詳細は説明できないが、なんとなくよくなる気がする」と思うことを、筆者は希望と名付けている。学ぶことは、とにかくよくなることへの信頼であり、その瞬間を大切に生きるということだと筆者は述べている。
問題発見→希望を持ちにくい状況でも学びがいを持つことは可能か?
しかし、実際に死を前にした人間が学びがいを持つことは可能なのだろうか。たとえば高齢のため、日ごとに自分の体が衰弱していく様を実感する患者が、漠然とした希望をもって生きることはできるだろうか。
論証→介護施設での高齢者
先日、家族が介護施設に入ることになり、付き添いで施設を訪れた。待ち時間が比較的長かったので、入所者の方と雑談をして過ごしていた。重度の痴呆の方や身体の自由がほぼきかない方がいる中、数人の方と話して気が付いたことがあった。ほとんどの方が、自分の話をしたあとに私にたくさんの質問をしてくれるのだ。学校でどのような勉強をしているか、趣味は何かといった他愛もない質問なのだが、彼らは非常に一生懸命耳を傾けてくれた。その姿を見て、彼らは私という外部から来た人間のことを純粋に知ろうとしていることに気が付いた。それこそが、その瞬間を大切に過ごそうとしているということなのではないだろうか。目の前の時間を大切に思うからこそ、自分のことを知ってもらい、相手のことを知ろうとする。相手の話を聞いて想像し、自分の中でも新しい感情や発見が広がる。たとえ身体が不自由であったり、記憶を長いこと保つことが難しいとしても、その瞬間を強く生きる姿に、心打たれるものがあった。
解決策or結論→どのようなときでも学びがいを持つことは可能である
たしかに余命がわずかであったり、記憶を失っていくことを受け入れるのは難しい。しかしそのようなときにこそ「予想」ではなく希望をもつことで、その人らしい人生が送れるのではないだろうか。
解決策or結論の吟味→結論を吟味する
学びがいは、他人から刺激をもらうことでも得ることができる。そのような希望にみちた学びがいを、これからも大切にしていきたい。(794字)
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