上智大学 総合グローバル学部 特別入試 志望理由書 提出例(根本敬ゼミ向け)

■ 議論の整理
2011年の軍事政権の民政移管以降のミャンマーでは、欧米による経済制裁が解除され、経済やメディアの自由化などの急激な変化を経験している。一方で、これまで軍の弾圧によって押さえつけられていた少数民族や宗教対立の問題が噴出し、対立と暴力の歴史を乗り越えるための試練が今なお続いている。
■ 問題発見
ビルマにおける暴力と平和的解決に向けた混迷の歴史の中で根本は、アウンサンスーチーの、紛争解決における「仲介者」としての発言や行動、役割に注目している※1,2。その姿勢は国内外で称賛されるとともに、弾圧を受けてきた少数民族や宗教的マイノリティの立場を含め、各方面から少なからず批判の声もある。国際機関や海外の支援NGOなど、第三者機関による仲介の事例は数多いが、非暴力の民主化闘争の内側からの主導者であり、ビルマ民族、政治家というバックグラウンドを持つアウンサンスーチー自らが和解のための仲介者に徹することは、軍政や紛争状態からの転換期にあるビルマやその他の地域にとって、有効なモデルとなり得るのだろうか。
■ 論証
この疑問を考察するにあたっては、アウンサンスーチーの思想と戦術としての非暴力の実践を概観していく必要がある。一般的には、政治的な立場や多数派のバックグラウンドを持つ者は、仲介者として機能しにくいと捉えられがちである。しかし、見方を変えれば、政治的影響力を持つ者自らが和解につながる仲介者としての姿勢を示すことで、ビルマの民主制の理念を体現し、自らがメディアとなって国民に提示できるというメリットもあるだろう。
■ 結論
そこで私は、平和構築という目標の元、アウンサンスーチーの仲介者としての言動のメリットとデメリットを整理し、それに対する国民の反応を追ってみたい。また、他の紛争から民主化への移行期にある国と、和解の仲介者を担う立場の背景や特徴について比較検討してみたい。
■ 結論の吟味
上述の目標を叶えるために、日本において世界の紛争転換・平和構築研究の成果が集まる貴学において、長年、ビルマの混迷と民主化の歴史を研究してきた根本敬教授のゼミに入会し学ぶことを希望する。
※1 根本敬(2009)ビルマ民主化闘争における暴力と非暴力―アウンサンスーチーの非暴力主義と在タイ活動家たちの理解― 年報政治学 60 巻 2 号 p. 2_129-2_149
※2 根本敬(2014)「アウンサンスーチーの選択」アジ研ワールド・トレンド No.220

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