上智大学 法学部 特別入試 志望理由書 提出例(松本尚子ゼミ向け)

■ 議論の整理

私は、法学の中でも人々の生活に深くかかわる行政学、公法学に関心がある。今日、行政法は私たちの生活に深く浸透し、支えながら、公的な秩序を保っている。こうした秩序が成立した背景を辿ると、それはヨーロッパの市民革命にその源流をみることができだろう。絶対王政をはじめとした旧来の政治体制や社会秩序が揺らぎ、それに代わる新しい秩序や体制に関する議論が盛んになされていたのである。特に私は、憲法のお手本として選ばれたドイツの公法学や官房学に注目したい。

■ 問題発見

17世紀から18世紀ドイツでは、領邦体制を支えた官房学、とくに後期の「ポリツァイ学」が興隆した。現代のように専門分化されていない当時において、官房学は今日の行政学の原型であるとともに、警察学、経済学、財政学、政策論などを幅広く含む学問体系だったと言われる。また、「ポリツァイ」の語源はギリシャ語のpoliceに由来し、後には警察policeという言葉にも引き継がれていることからも見て取れるように、「ポリツァイ」概念は多面的、多義的な言葉である。

では、「ポリツァイ」という概念は、古代ギリシャのポリスからどのような過程を経て、警察統治という概念に変遷し、また現代の行政法に影響を与えているのだろうか。

■ 論証

この問いに答えるためには、近代ポリツァイ概念にまつわる様々な先行研究や文献を調査するとともに、現代公法学との連続性や相違についても分析・議論する必要がある。また、

そのためには、近代法制史の文献を読み解くための知識や語学力が必要であり、身に着けたいと考えている。

■ 結論

「ポリツァイ」概念の歴史と変遷を紐解くことは、近代公法学についての理解を深めるだけではなく、現代の法学がどのように整備されてきたのか、また近代の統治や制度がどのように誕生し、根付いてきたのかを理解する手立てとなるだろう。

■ 結論の吟味

前述の問題意識を掘り下げていくために、貴学の法学部に進学し、ドイツの公法学の専門家である松本尚子教授のゼミに入会することを強く希望する。

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